13 最強のマリオネット
「みんな先に行って」
沙耶香さんがそう言う。
「わたしはこいつとちょっと話があるの。
すぐに追いつくから・・・」
大和の胸倉を掴んでいる。
何もできない大和。
「わかったわ」
美那子さんは沙耶香さんを見てうなずく。
みんな、沙耶香さんの横をすり抜けて行く。
大和と沙耶香さんって何があったの???
わたしも二人を見比べながら、
横をすり抜ける。
そういえば・・・・
大和・・・言ってたね・・・
あいつに似てるって・・・・
もしかして沙耶香さんのこと?
18階に上る・・・・
みんなが立ち止まっている。
その前には、キレイな女の人・・・・
白い仮面をかぶったマジシャンみたいな人・・・・
それと、木刀を構えた麻衣さん・・・・
「麻衣っ、しっかりして・・・・」
美那子さんが叫ぶ。
でも、麻衣さんの目はうつろなまま。
操られていた時の優菜と同じ・・・・
「こいつらがここまで来るってことは、
下の奴ら、みんなやられたのね。
本当に役立たずね・・・」
女が笑う。
「ええ、申し訳ありません」
仮面の男は小さく頭を下げる。
「しかし、この人形は最強ですよ。
いままでわたしが操った中ではね」
男が手を動かす。
麻衣さんが刀を構える。
青く光る刀・・・・
「仕方ないわ」
美那子さんも構える。
光の玉を出して床に跳ねさせる。
「いくよっ・・・」
美那子さんが走り出す・・・・
左右にフェィントをしながら、麻衣さんの動きを見ている。
すごいトリッキーな動き。
WITCHES最強同士の戦い・・・・
どちらも手を出せずにいる。
美那子さんも間合いをおいて周りからうかがうだけ・・・・
いきなり希美が走り出す。
大剣を構えて・・・・
麻衣さんの方へ・・・・
「希美、だめっ・・・」
同じ剣使いでも、たぶん希美じゃ勝てない。
大きな剣を振りかぶって麻衣さんを薙ぐように剣を払う。
バキッ・・・
大きな音が鳴る。
希美の剣が止まる。
麻衣さんが受け止めたのだ。
そのまま、軽く麻衣さんが剣を払うと、
勢いよく吹き飛ばされる希美・・・・
ぜんぜん相手にならない・・・・
でも、美那子さんは動けない。
隙らしい隙を見せないのだ。
美那子さんはドリブルしながら回る・・・・
わたしのそばに来たとき、
わたしに向かって言う。
「美月・・・・
わたしが攻撃するから・・・
麻衣のリミッターを切って・・・」
「えっ・・・・」
麻衣さんって・・・・
リミッターをつけたままなの???
それなのにこんなに強いなんて・・・
それを外したらどうなるの?
「言うとおりにして・・・」
美那子さんは再び言う。
わたしはコクンって首を縦に振る。
わたしは黒い玉を宙に浮かべる。
そう、麻衣さんのリミッターを切るの。
それも麻衣さんの腕を傷つけないようにぎりぎりでね。
わたしは集中する。
「いくよっ!」
美那子さんが飛び出す。
光弾をパスするように出す。
パスした先にも美那子さんがいて光弾を受ける。
たぶんパスを出した瞬間に移動してるんだけど・・・・
分身しているようにしか見えない。
麻衣さんも翻弄される・・・・
刀を振るけど、まるで見当違いになってしまう。
美那子さんの最大の武器は、
光弾ではなく、このスピードだった。
麻衣さんは狙いを絞りきれず。
刀からの青い光はことごとくビルの壁を破壊するだけ・・・・
ついに美那子さんの攻撃・・・・
麻衣さんの隙を見て光弾をぶつける・・・・
でも、その動きはとらえられる・・・・
刀でバスケット弾を受け止める・・・
今だっ!!!!!
わたしは黒い玉を麻衣さんの手首に向かって放つ・・・・
光弾を受け止めている刀は動かせない・・・
その隙に黒い玉が麻衣さんの手首をかする・・・・
ちぎれて床に落ちるリミッター・・・・
やりぃ・・・・
でも、こんなことしてどうなるの????
美那子さんはわたしを振り向いて微笑む。
よくやったねって言うように・・・
でも、麻衣さんの身体が青く光る。
さっきまで刀がまとっていた光・・・・
それを全身にまとっている・・・・
麻衣さんが刀を払うと、
かんたんに美那子さんの光弾が跳ね返される・・・
それを受けた美那子さんは壁まで吹っ飛ぶ・・・・
麻衣さんは、構える・・・
わたしたちに向かって・・・・
もしかして最強の魔神を放ってしまった気分・・・・
美那子先輩これでいいんだよね。
わたしは目で確認する。
壁にもたれながら
親指を立ててOKの合図をする美那子先輩。
そのとき・・
「夢想乱舞っ・・・」
麻衣さんが必殺技の名前を告げる・・・・
刀を含めて全身の青い光が高まる・・・・
そして、麻衣さんは上段に刀を構えた。