18 ミイナの力
あとは沙耶香先輩だけ…
でも、裏のリーダーとか言われてるだけあって、
一番頼りになる先輩だ。
いつも、沈着冷静で、わたしたちの背後にいるって感じで。
この人が控えてるから、わたしたちは思いっきり行ける。
そう思えてしまう。
「あと、ひとりですね」
「ええ、そうみたいね」
「もう、わかりましたか。あなたもなかなかの実力者みたいですから…
無駄な戦いはしないでおきましょう」
「フフ、そうもいかないの。これだけ仲間をボコボコにされたらね」
「愚かな…」
「先読みの力だったっけ?
美那子がその正体を教えてくれたよ」
「それで?」
「わたしには通用しないってこと」
沙耶香先輩がムチを取り出す。
それは柄だけのもの…
でも、そこから黒い鞭が伸びる。
ブラックホールウィップ…闇の力をムチのように操る。
LOVE★WITCHESの女王は伊達じゃない。
「あたらないわ。あなたの技」
「そうかしら」
軽くムチをふる沙耶香先輩。
その何気ない一撃が、リディアの頬を掠る。
一筋の赤い線がその頬に付く。
驚いたように、沙耶香先輩を見るリディア。
「読めない?」
黙り込むリディア。
「そんなわけないです。見えないなんて…」
「魔女は騙すのが本職よ…そんな先読みの目を騙すなんて簡単…」
「噓です。そんなの…」
「そう思ってればいいわ」
沙耶香先輩の表情は読み取れない。
バラエティでは、カリスママジシャンと対決しても簡単にタネを見破ってしまう。
マジック番組には呼ばれなくなっている。
「リディア、わたしも戦わせてよ。
退屈だよぉ」
2人の対決にミイナとかいうリーダーが割り込む。
沙耶香先輩を目の前にしてもひるまない。
「あなたがリーダー?」
「そうよ。どちらかといえば、さっきのよりあなたのほうが強そう」
「どうかしら?」
妖しく笑う沙耶香先輩。敵に対して底を見せない。
まあ、この人の底なんてあるのかどうかわからない。
相手も同様。
底の見えないのは一緒。幼女の姿だけど、リーダーとしてのオーラをまとっている。
穏やかにしゃべっているように見えるけど、もう戦いは始まっている。
「戦いを楽しみたいところだけど、そうもいかないの。
東都を支配して、北とケンカしないとなの」
「そんなに簡単にいかないわ」
「そうね。あなたみたいのが居るんならね。
でも、わたしの魔眼には関係ないの。
あなた、わたしの部下にならない?
リディアと並んで、いい右腕になると思うけど…」
「お断りよ」
「じゃあ仕方ないね。残念だけど、倒させてもらうよ」
「そう…でも、わたしの後ろを見て」
沙耶香先輩の後ろには、美那子先輩、麻衣先輩、睦美先輩が立っている。
満身創痍だけど、目の光は失っていない。
「本当に仕方ないわ…残念ね。リディア」
「そうですね。これだけの戦力があれば…」
「あなたたち、北の魔女の敵として認めてあげる。
だから…」
魔女ミイナの目が光る。
「おとなしく、石になりなさい!
石の目!(メデューサ・アイ)」
強烈な光が、4人のユニットリーダーを包み込む。
光が弱まった時、そこには4つの石像が残された。