16 七崎睦美VSリディア
「わかったでしょうか?格の違いが。
残念ながら、あなたたち程度が何人集まっても同じです。
東都はミイナ様の軍門に下ったほうがいいですよ。
無駄な戦いはお互いを不幸にするだけです」
無表情に言うリディア。
「何の技かな。
今の???
でも、わたしに通用するかな。
ウィッチ・オブ・ウィッチ。
七崎睦美にさ
イン・ザ・ワンダーランド!」
睦美先輩がロッドを高く振り上げる。
まわりの世界が変わる。
この世界の中では睦美先輩は神。
あらゆる法則を自分で作り出すことができる。
チートな技。
空に舞い上がる睦美先輩。
魔法の中でも、希少な空間魔法の使い手。
いろいろな空間を作るが、その中でもお得意の童話の世界。
睦美先輩のルールひとつで天が地面になったり、重いものが浮かんだりする。
「ルールいちっ。
わたしの攻撃はよけられないっ」
そのまま急降下する睦美先輩。
リディアに向かって蹴りを繰り出す。
「面白い魔法ですね」
リディアは、手の平でその蹴りを受け止める。
その途端、睦美先輩が吹っ飛ぶ。
少年マンガでみたことがある。あれは発勁みたいなもの。
衝撃波で相手を飛ばしてるんだ。
「わたしは避けていませんよ。ルールは守られてますよね」
「ルールに。相手の攻撃力は十分のいち!」
睦美先輩は立ち上がる。
ほとんどダメージを受けてない。
とっさにルールを変えて、ダメージを受けないようにする。
空間魔法にはいろいろな制約があるらしい、1/10にしたのは制約のせい。
たぶんゼロにすることはできないんだ。
「こっちも効かないよ」
挑戦的に笑う睦美先輩。
「では続けましょうか?」
睦美先輩に近づくリディア。
「ルールさん!敵に雷が落ちる」
空が暗くなって、稲光が走る。
空から一直線に光がリディアに向かう。
「逃げられないよ。ルールいちがあるからね」
「ええ、逃げられはしませんよね。
でも、あなたもこれで終わりですよね。
あなたの力ではルールは3つくらいしか構築できません。
それと1/10のダメージといっても、相当なダメージですよね」
雷が落ちてくる空を見上げるリディア。
そして、空に向かって手のひらをかざす。
落ちてくる雷に向かって、衝撃波を送る。
雷の落ちる音、稲光にリディアの姿が影絵となる。
そして…
その後には無傷のリディアが立っていた。
同時に、力を使い果たした睦美先輩が膝をついた。
睦美先輩のワンダーランドは霧のように消え失せた。