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LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第8部 北の魔女ミイナ
243/344

12 金剛力ユーリカ

 魔獣の前足を片手で止める結花さん。

 力を入れる魔獣。

 でも、前足はピタリと止まったまま動かない。


「失せなっ。この街は通さないよ」

 そのまま、手をはらう結花さん。

 魔獣の前足は浮かび上がって、後ろに弾かれる。


 なんとか魔獣は体勢を立て直す。

 背中の魔女たちも、毛にしがみついて転落を免れる。


 その背中から眼帯の副官が飛び降りてくる。


 結花さんの前にふわりと降り立つ。


「どこかで見たことがあると思ったら…

 魔女サリのところの将軍、金剛力ユーリカですよね。

 魔女会議で見たことがあります」

「そうね。あなたも見たことがあるわ。

 魔女ミイナと副官リディアだったわね。

 確か序列7位だったかしら。

 弱小の新興勢力。よく神7に入れたなって噂になってたわ。

 まあ、あの時ちょうど7位が帝国に滅ぼされたところだったから…。

 空席にしようかって話もあったくらい。

 それくらい、力の差は歴然だったからね」

「序列なんて、あなたたちの決めたことでしょ」

「そう、でもね。それがあの戦国時代の国のシステム。

 序列に逆らえば、他の6人に攻められる。

 無駄な戦いをしないための抑止力。

 下刻上なんて言う魔女もいたけどね。成功したのはサリ様だけ…。

 当時の1位を潰して、神7に入ったの。

 まあ5位までが凄すぎるからね」

「知ってるわ。その時の将軍があなた。そして、副官が今の序列5位のリンですよね」

「リンは元気にしてる?帝国に攻められて、わたしたちがこっちに落ちちゃったからね。

 苦労してると思うわ」

「ええ、まあ神7は磐石ですよ」

 目を逸らすリディア。

「ふうん。そうは見えないけどね」

「どうしてそんなこと…」

「将軍を全員連れて、こっちに来るってことは。

 逃げてきたのかなって思っただけ」

「失礼なことを言わないでください!」

「ごめんごめん。そういうつもりじゃないのよ」


 リディアの後ろには、仮面の魔女たちがいつのまにか集まっている。

「金剛力ユーリカ」

「あの、千人の帝国軍をひとりで止めたっていう?」

「そうは見えないけどな」

「暴虐のサリも生きてるの?」

 口々にささやきあう。

「なんか、リン軍ってヤバいって言うじゃん」

「伝説よ。伝説。たぶんリンに地位を追われたんじゃね?」

 

「黙って」

 リディアが制止する。

「それで、そこを通してくれませんか」

「いやと言ったら」

「潰すまでです」

「上等だね」

 結花の身体を闘気がみなぎる。

 それは、まどか先輩にも劣らないほど…

 これまで、優しそうな人だって思ってたけど、これほどの闘気を秘めているようには感じなかった。

 一流の武人は普段強そうに見せないっていうけど、それなのかな。

 そして、その優しそうな細い目が、かえってその実力を裏付けている。

 こんなやつらに対峙して、笑ってられるって…


「べつに、サリ様と対立するつもりはありません。

 東都を支配するだけです。

 戦えば、お互いただじゃすまない…ですよね。

 お互いにじゃまをしないっていうのではどうでしょうか」

「ふぅん。北の子にしては頭がいいのね。

 序列7位に入れたのは、あなたの力があったからね」

「交渉成立ですか」

「そうね。とりあえず、この子たちなんとかしないといけないし戦ってる場合じゃないわね」

「この弱い人たちは…?魔女にしては…」

「わたしの友人よ。そして、決して弱くないと思うわ。この子たちをわたしてくれること、今後この一帯は攻撃しないこと…これが条件。いいわね」

「いいですよ」

「あと…サリ様に手をださないこと」

「それも条件ですか」

「いいえ、忠告よ」

「ありがたく拝聴しときます」

「たぶん、この子たちと戦ったことで、もう地雷をふんでるんだけどね」

「冗談でしょ。この程度の魔女たちが何人束になってもどうってことありませんよ」

「だといいけど…」

「さ、いそがなくっちゃ。あなた」

 さっきのヒゲのシェフがわたしを抱き上げる。

 意識が真っ暗になって、身体が浮き上がるのを感じた。



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