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LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第8部 北の魔女ミイナ
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10 春香の死闘

「全力勝負か。いいだろう」

 一度、春香の前を離れるライア。

 彼女も闘気みたいなのをタメ始める。

 それは赤い光に見える。

 春香の金色の光とは、また違う闘気。

 でも、その力の巨大さはわかる。

 春香の方も、力を貯めている。

 お互い、この一発に勝負をかけるつもりだ。


 春香の目が大きく見開かれる。

 円月輪は、一本に束ねられて巨大な車輪となる。

 力を分散せずに、ひとつにまとめているんだ。


 その車輪が、コトリと動き始める。

 そのまま、ゆっくり加速する。

 それに向けて敵も偃月青龍刀をふる。

 刃先から、大きな刃型の光が飛び出す。

 その光が車輪とぶつかる。拮抗する力は空中で停止する。

 綱引きのような一進一退の攻防。

 でも、ぶつかり合うところで火花を上げながらじりじりと車輪が刀を押し戻し始める。


 ライアの刀の柄が折れる。

 円月輪ビーナスの力に耐え切れなかったみたいだ。

 さすがに武器のクィーンだけある。

 相手も宝具だっていうのに…


 弾いたまま、ライアに向かう車輪。

 でも、ライアは逃げようとしない。

 もう、武器はないのに。


 真っ向から車輪を受け止める。

 まるで、火花が散るようなぶつかり合い。

 でも、だんだん車輪の回転は遅くなる。

 車輪の両側を掴むライア。

 ビーナスに力勝負を挑んでいる。

 そして…

 ついに…

 車輪の回転は止まる。


 武器の達人であるだけでなく、この力…

 まるで、LOVE★WITCHESの先輩たちのような圧倒的な能力。

 わたしたちではかなうわけがない。


「逃げて、美月、胡桃」

 あとは、わたしが食い止めるわ」

 もう、春香の手には相棒はいない。

 ライアの後ろで力なく転がる車輪。

 それは、命を燃やし尽くしたように、生命を感じられないただの鉄のホイールとなっていた。


「春香こそ逃げて!

 わたしが食い止める。

 わたしの力も光球だけじゃないよ」

「でも、右手、怪我してるじゃん」

「関係ないよ。召喚にはねっ。だから、早く逃げて、先輩たちと一緒なら絶対勝てるから」


 私は光球を戻そうとする。

 ひとつだけ戻ってきた。

 魔王ルシフェル…紫色の球だ。

 気まぐれで、どうしようもない猫。

 でも、その力は強力だ。

 わたしは、ルシフェルを召喚する。

 わたしの足元に現れる、クロネコ。

 その身体はボロボロだ。

 さっきの黒い針で射止められたのを無理やりはがしてきたみたい。

 いつものふてぶてしさはない。

 わたしの足に倒れそうになりながらも寄り添う。

 

 ルシフェル大丈夫???

 心配そうにクロネコを見る。

 ルシフェルは大丈夫って言うように、小さく鳴き声を上げる。

 

 でも、春香と胡桃だけでも逃がせたら良しとするか。

 わたしは巨大な魔獣の前に立ちふさがる。

 よし、いくよ、ルシフェル。

 わたしは、道路の真ん中に立ち、巨大な狼を待ち構えた。

 


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