表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第8部 北の魔女ミイナ
240/344

09 ビーナスの力

 たのみは春香だけ…

 こういう時にいちばんたよりになるのは春香。

 リーダーの素質をもっている。みんながピンチの時になんとかしてくれるみたいな存在。

 宝具クィーン、ビーナスと一体化した春香。

 さっきより大きく見える。


「やめてくれっ。俺では力不足だ

 あんたにはふさわしい武器ではないんだ。

 もっと強い武器をもってくれ」

 怯えたような相手の武器の叫び。

 相手は一体化していない。

 宝具のほうが、人間を支配するというのはあるけど、ここまで武器を怯えさせるっていうのはない。

「うるせえな。この武器」

 ライラは、その武器を振り回す。

 それだけで、武器は黙ってしまう。


「いくよ、ビーナス」

「いいよ。ああいうの宝具のクィーンとして許しておけないからね。

 きちっと宝具の力見せつけてやる。

 春香といっしょならそれができるからね」

「うん」

 こっちはチームワークばっちりだ。いつもいがみ合っててあの力。

 強力しあえば、どんな力になるの???

 円月輪を構える春香の身体が金色の光に包まれる。

 春香は魔法力がなかったはず…

 だから、あの光はビーナスの力。


 春香が目を開ける。そして、微笑む。

 相手を決して舐めたりしない春香。

 その春香が自信満々で相手を睨む。


 相手もひるまない。視線の応酬となる。


 先に動いたのはライラ。

 素早い刺突が春香を襲う。1秒に何回という刺突。

 それを両手の円月輪で軌道を逸らす。

 余裕の動きだ。春香の運動能力がいつもより上がっているのがわかる。

 たぶん、金色の光は補助魔法みたいな効果があるんだ。

 振り回す偃月刀は、ぎりぎりのところでかわす。それは、見えてないとできないこと。

 相手の動きを完全に見切っているから、大きく避けなくていいんだ。

 いける!


 春香は余裕でかわしながら、攻撃にうつる。

 相手の大ぶりをさけ、円月輪を投げる。小回りの効かない武器では弾くことはできない。

 でも、その円月輪は相手をすり抜けたように見えるくらいぎりぎりで避けられる。

 見切っているのは、向こうも同じ。


 やはり、相手は相当の武人。まるで、麻衣さん並かもしれない。

 それに互角に戦う春香もすごい。


 対峙しているだけに見えるけど、両者ともボロボロになっていく。

 もう、本人たちにしかわからない攻撃の応酬なんだ。

 お互いに気配で避けてるだけ、だんだん春香に疲れが見え始める。

 あの、身体に纏った光もだんだん弱まっているような。


「まだ、行けるかい」

 ビーナスはさすがにまだ余裕がある。

 さすがに宝具の女王と言われるだけある。

 でも、もう春香の動きはそれについて行ってない。

「なんとか」

 口でそういうものの、表情には疲れが見える。

「無理だろ、もう、よくやったよ。

 でも、最後にもう一回だけ付き合ってよ。わたしの命をあいつにぶつけてやる」

「えっ、だめだよ。そんな…」

「いいの。わたしをあいつにぶつけて逃げなさい。あの子たちを連れてね」

「できないよ。そんなこと」

「いいから、春香はいままでのパートナーで最高だったよ。

 でも、あいつを倒すにはそれしかないの。

 わたしの全てをぶつけるしか…ねっ…。

 それほどの敵なんだよ」

「できない…」

 でも、目の前の敵の攻撃はますます激しくなってくる。

 そう、春香でさえ一矢報いることしかできないくらい。

 春香の体力では、ワンチャンスしかない。


「迷ってると、大事な仲間まで失っちゃうよ。

 美月だっけ。あの子のこと大事なんでしょ。

 このままじゃ全滅だよ」

「うん…でも、できればただじゃ、すませないよ」

「わかったよ」

「みんな一緒に帰るんだ。

 たぶん、いまはあいつらには勝てないけどね。

 先輩たちと一緒なら楽勝だよ」

「うん、その意気。それでこそ春香だよ」

「うん!」

 春香の目に光が戻る。

 そして、春香の身体も光を戻し始める。

 それだけでなく、その光はさっきより強くなったような感じさえした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ