12 大和・・・
次の踊り場には、
プロレスっぽい仮面をかぶった男。
服は、破れたジーパンに、
白のTシャツ・・・
首には太い金のネックレス・・・
ってどこかでみたことあるような。
「まあ、おまえらに恨みはないけどな。
一宿一飯の義理ってやつでな・・・」
わたしたちの前に立ちふさがる。
あいつだぁ・・・
だめだって
それくらいの力でわたしたちの前に立っちゃあ。
先輩たち、気がたってるんだから・・・・
わたしは前に出て大和に声をかけようとする。
でも、それより美那子さんの反応が早い。
「退けっ!」
オレンジの光弾を出して、
ドリブルをするように床と手の間を往復させる。
「10秒だよ。10、9、8」
いらいらするように言う。
でも、男は引かない。
仕方ないなって感じで見下ろすだけ。
「3、2、1、0」
そのとたん美那子さんがダッシュする。
階段なのにもかかわらず、
ドリブルしたまま、猛スピードで上っていく。
姿勢を低くしたトリッキーな動き。
相手は普通翻弄される。
そして、投げるというより、
光弾をぶつけるという感じ・・・
それが、美那子さんの戦い方だった。
わたしは光弾を自分の思いどおりに操れるけど、
美那子さんの場合は自分の手でコントロールする。
もちろん、美那子さんの手は光弾に焼かれない。
「やべぇ」
大和は上半身だけでその攻撃をかわす。
美那子さんの攻撃をかわすなんて、只者じゃないかも。
「だから、あぶねぇって・・・」
大和は逃げながら、
突っ込んできた美那子さんの足を引っ掛ける。
勢いよく、こける美那子さん・・・
大和は全然フォースを使っていない。
でも、美那子さんが舐めてただけだよ。
すぐに起き上がる美那子先輩・・・・
そのまま、猛スピードで突っ込んで来る。
さっきまでと違う。
美那子さんの本気の動きだ。
「アルティメット・ダンクっ!」
大きく飛び上がって、大和に向かって光弾をぶつけようとする。
あっ、そこまでしなくても・・・・
死んじゃうよ。
いくらなんでも。
大和は初めて拳を出す。
オレンジ色の光弾に向かって・・・・
青白い光をまとう拳・・・・
美那子さんのアルティメットダンクとぶつかる・・・・
火花が散るくらいにぶつかる・・・・
二人ともはじかれるように吹き飛ぶ。
美那子さんは愛莉さんが受け止める。
大和は壁に激突。
・・・・・
・・・・・
・・・・・
「いってぇ・・・・
あぶねえな・・・・
死んだらどうするんだよ・・・・」
先に立ち上がったのは大和。
わたしは思わず前に飛び出す・・・・
7色の玉を出しながら。
「ばかっ。
なんで、わたしたちのじゃまをするんだよ!」
わたしはむちゃくちゃに玉を大和に打ち込む。
ケーキバイキングおごってやったじゃん。
クレープと甘味処は払わせたけど・・・・
「えっ?
さっきの・・・・」
玉を全部かわす大和。
「なんで、悪者の味方するんだよ。
ばか大和!」
いい人だと思ったのに・・・
取り消しだよ。
わたしはレインボーイリュージョンを決めようとする。
それを後ろから引く手・・・・
誰?
わたしを後ろに押しやって、
沙耶香さんが前に出る。
そして・・・・・
大和の前に歩いていく・・・・
大和の前に立つ沙耶香さん・・・
大きく目を見開く大和・・・
「朱雀・・・・」
その時、
パン・・・・
沙耶香さんの平手が大和の頬を思いっきり弾いた。