表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/344

11 ジェル男

 16階の踊り場。

 そこを塞ぐような巨体。

 縦よりも横幅が大きいような風船みたいな体型。

 丸い眼鏡から細く陰湿な目がのぞく。


「そこを空けな!

 ぐずぐずしてると痛い目にあうよ」

 美那子さんが男に向かう。

「あ~~ 」

 男はよける気配がない。

 それどころか両手を挙げてわたしたちを威嚇する。

「10秒だけまってやるよ」

 美那子さんがカウントを始める。

 でも、男はわけのわからないうなりを上げるだけ。

「5、4、3、2、1、ゼロ」

 美那子さんはカウントを終えて、

 光弾を出す。

 思いっきり風船男めがけて投げつける。

 命中!

 そのとたん

 男ははじける。

 えっ。


「やばいよっ、みんな」

 声をかけるのは真奈美さん。

 みんな、その飛んでくるゼリーを避ける。

 第一こんな気持ち悪いものにあたりたくない。

 足元に落ちたゼリーの破片は階段の上を目指して動く。

 なに、これ・・・・

 集まったゼリーは階段上で山となる。


「このゼリーにつかまったら駄目だよ。

 取り込まれちゃうよ」

 真奈美さんはこれと闘ったことがある。

 だからみんなに指示を送る。

 だんだん階段を下りてくるゼリーの山。

 思ったより速い動き。

 時々、触手のように身体を伸ばしてわたしたちを捕まえようとする。

 やすやすと避けるわたしたち。

 でも、このままじゃ先に進めない・・・・


 これに対抗できるのは

 わたしと美那子さん、沙耶香さんくらいかな。

 直接攻撃は、たぶんダメ。


 沙耶香さんが前に出ようとする。

 そう、ブラックホールに吸い込むしかない。


 でも、その前に優菜が立ちふさがる。

「わたしに任せてください。」

 さっき回復したばかりなのに・・・・

「優菜、フローズンワールドは効かなかったじゃん」

 心配そうに真奈美さんが近寄る。

「大丈夫です」

 自信満々の優菜。

 優菜は元々控えめな方で、無理をする方じゃない。

 なんか、勝算はあるはず・・・・


「任せたよ」

 沙耶香さんは後ろに下がる。


「はいっ。

 ちょっと下がってて下さいっ」

 優菜は手をかざす。

 フローズンワールドのポーズ。


 優菜は静かに目を閉じる。

 その手に絡み付こうとするジェルの触手。

「だめっ、また取り込まれちゃう」

 真奈美さんの叫び。

 でも、それを沙耶香さんが制する。


「氷結地獄!絶対零度っ!」

 優菜が叫ぶ。

 優菜の手から白い煙が広がる。

 

 絶対零度・・・・

 物体の中の電子の動きさえなくなる温度だ。

 現実世界のすべてのものは存在しえない。


 凍るというより、細胞が破壊されていくという方が適切だ。

 見る見るうちにジェルの池は黒くなっていく。

 恐ろしい技。

 これで、ますます優菜に逆らおうって気がなくなる。


 ジェルがほとんど黒くなったところで、

 優菜がよろける・・・・・

 たぶん無茶苦茶エネルギーを使っているはず、

 その優菜を胡桃が支える。

 よくやったよっていうように沙耶香さんが微笑む。

 この人、ずっと優菜のこと信じてたんだ。

 ますます尊敬かもっ。


 あとは、飛び散ったジェルの破片がうごめいているいるだけ、

「急ぐよっ」

 美那子さんが階段を上り始める。


 わたしと胡桃は優菜をささえながら、

 先輩たちの後に続いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ