23 夢想乱舞
「好き勝手、やってくれんじゃん」
会場の後ろから、まどかさんが歩いてくる。
「もう、あんたに用はないわ。今度はこの力も手にいれたからね。
東都の魔女の力、全部盗んだるわ。
次は氷の力やな。
そっちのバカそうなのは、わけのわからない力やしいらんわ」
にやりと笑う神楽。
「それが目的なのね。
あんたのコピー能力。
受けた技を自分のものにする力ね」
「そうや。ついでに世直ししといたろと思ってんねん」
西都の言葉でまどか先輩に対抗する。
「でも、そんなことさせないわ」
身構えるまどかさん。
「この剣の力もなかなかやって聞いてるで。
炎の力とどっちがすごいか確かめてみよか。
うちは最強の力が必要なんや」
モップの柄を構える神楽。
その木の棒が青白く光り始める。
腕をクロスさせて防御の姿勢をとるまどかさん。
その腕が炎に包まれる。
LOVE★WITCHES最強の力同士の対決。
わたしたちも息を呑む。
まるで、最強の矛と最強の盾の戦い。
でも、故事のような嘘の最強ではない。
本物同士の戦いだ。
神楽は光るモップを上段に持っていく。
モップの柄は周りから力を集めるように光を増していく。
わたしなら、ここを狙う。
たぶん麻衣さんには勝てないだろうけど、勝てるならここしかない。
麻衣先輩の力はたぐいまれな集中力。わたしなら小さな攻撃を連発して集中させない。
これしかない。
でも、まどか先輩は笑みを浮かべながら、神楽の力が整うのを待つ。
そう、まどか先輩がリーダーだったっていうのはここ。
強さだけではない。相手の力を最大限に引き出して、それを凌駕する。そのスタイル。
相手は言い訳もできないように叩きのめされる。
そのカリスマ性がLOVE★WITCHESのリーダーの資格。
木の棒にまとった光が渦を巻き始める。
「夢想乱舞!」
まるで、棒がレーザー銃となったかのように、まどか先輩に向かって光が吐き出される。
それから、分かれた光の線は収束するようにまどか先輩を貫いた。