21 神楽の力
神楽の面が割れている。
そこからのぞく顔…
それは、わたしが想像したのと違う顔。まどか先輩の顔じゃない。
じゃあ、あの炎の技は???
「フフ…もう、あんたの技は見切ったわ」
部屋の隅に落ちていたモップを拾いクルクルとまわす。
そのまま、正眼に構える。
その、構えは、麻衣さんと同じ。
まるで鏡を見るように同じ構えで、麻衣さんに対峙する。
麻衣さんから仕掛ける。
天才剣士といわれる剣技。
でも、それは同じような動きで受け止められる。
この神楽って言う人、一度受けた技をコピーできるの?
麻衣さんの剣が青白く光をまとい始める。
これは真似のできる技じゃない。
でも、神楽のモップも同じように光をまとう。
また、激突する。
互角???
ううん、麻衣さんが剣を落とし、手を押さえる。
そう、神楽の方が一瞬速かった。
それは刀とモップの違い、長さと軽さ。
同じ力を持つ2人。
ちょっとだけの違いが勝敗をわけてしまう。
そして、剣を持つ神楽と無手の麻衣さんでは圧倒的な差になってしまう。
「ほな、社長いただいて帰るわ」
ゆっくりと社長の元に向かう神楽。
なにもできない麻衣さん。
社長もそれに付き従うしかない。
恭順の意思を表すため手を上げながら、出口に向かう社長。
その後ろをモップを持った神楽が歩く。
まだ、負けじゃない。
わたしと優菜が中央に向かう。
人質をとられても、一瞬の隙があれば…
仕掛ける…
でも、その出口から一人の影が現れる。
新たな仲間なの?
「やっぱり、あなただったんだね。
わたしの技で好き勝手やってくれたじゃない」
出口の中央に立ちふさがり不敵に笑う赤い服の女の人。
それは、あの火焔まどか先輩、その人だった。