16 闇使い黒羽
優菜はわたしを横目で見て、親指を立てる。
こっちもがんばるよ。
わたしは黒いマントに対峙する。
「わたしはLOVE★WITCHES。
レインボーマジシャン、海崎美月」
わたしも名乗りを上げる。一騎打ちの礼儀だ。
「闇使い、詩郷黒羽よ」
やっぱり闇の魔女なんだ。
火を使う魔法より希少な魔法。
能力はわたしたちの希望の体現。イメージしたフォースをまとうことができるらしい。
想像力のある方が、強力なフォースを身につける。っていうのはLOVE★WITCHESの研究所の研究によるフォースの分析なんだけど。
わたしは、意識して力を身につけたわけじゃない。気がついたら勝手にできるようになっていたみたいな感じ。まあ、でも最初はちょっとしかできなかったんだけどね。
闇の能力は、豊富な創造力が必要なだけに強力なものとなる。
LOVE★WITCHESではブラックホールを使う沙耶香先輩が闇の系譜に連なる。
とりあえず、こっちも急いで倒す。
今はショーじゃない。護衛任務、秒殺モードだ。
七色の光の玉を召還する。次々と現れる光玉。
ひとつひとつが特別な力を持つ私の能力。
でも、言うことを聞くとはかぎらないけど。
特に紫色の玉は言うことを聞かない。
火と氷と光が通用しないのは、さっきので証明済み。
闇は攻撃してもダメなのかもしれない。
ということは…
本体を攻撃する。それしかない。
幸いわたしには7つの強力な光玉がある。
6つまで防がれても、あとひとつが本体にたどりついたらいい。
これを見越しての麻衣先輩の指示。
本当であれば、前に戦った着ぐるみの方に行くはず。
さすが、LOVE★WITCHESのリーダーの一人。
美那子先輩に比べておっとりしているように見えるけど、判断は冷静。
でも、わたしの光玉は次々と黒羽の背中から伸びた触手のような闇にはじかれる。
そんなに簡単に行かないか?
うん、特に目立った弱点はないみたい。
こういうときは…
特攻あるのみ。
さっきから動かない本体の身体能力に難ありと考える。
わたしのまわりに光玉を集める。
そして、その光玉を放つのと同時に…
走り出す。
光玉にはできる限り撹乱するように命じる。
まあ、言うこと聞くかどうかはわかんないけど。
黒羽の目の前に走りこんだとたん、一丸となっていた光玉たちが弾けた。