15 着ぐるみVS氷の女王
「美月っ。まかせたよっ」
麻衣さんの言葉に闇使いのほうに向かう。
これからが本番。
いままでと一緒にするなよ。LOVE★WITCHESはちょっと違うよ。
わたしたちは背負っているものが違う。
正義とかそんなわけのわかんないものじゃなくて、LOVE★WITCHESなんだ。
卑弥香さんが作って、先輩たちが築き上げてきたもの。
これがわたしたちのPRIDEなんだ。
だから、ぜってぇ負けるわけにはいかない。
まず、優菜が仕掛ける。
水の魔法のスペシャリスト、フローズンクイーン。
わたしと同期だけど、LOVE★WITCHES最強の魔女の一人。
着ぐるみぐらいに負けるわけがない。
ゆっくりと着ぐるみ魔女に近づく。
「わたしは氷室優菜。
水の能力を使うの。
あなたは?」
ゆっくりと問いかける優菜。
そうわたしたちの戦いは正々堂々。
戦国武将の一騎打ちのように名乗りあう。
そして、名乗った以上、すべてを背負い込んで勝利する。
「西陣麻里だよ。着ぐるみの宝具使いだよ」
目を細めて挑戦的に微笑む。
小学生のような子なのに、ふてぶてしく優菜に挑んでくる。
「じゃあ、始めるかっ。
LOVE★WITCHESって、前に戦ったおねえちゃんもだよね。
なんか馬鹿っぽかったけど、今度のおねえちゃんは違うよね」
おぃっ。それってわたしのことじゃん。
「美月のことかな。
あの子そんなにバカじゃないよ」
優菜が鋭い目で微笑む。
これは優菜が、すごい怒っている時の顔。
こうなると、あの希美や栞でもどっかに行ってしまう。
それくらい怖い優菜に変身する。
別名、氷の微笑と言われている。
達人同士の戦いでは、相手の冷静さを奪うことも重要な作戦。
この子戦い慣れしてるのかも。
優菜が手を差し出す。
相手に触ってしまえば、優菜の勝ち。
すべてのものを凍らせてしまう。
でも、相手のスピードはわたしもわかっている。
優菜が前に出る。
鼻を振り上げる麻里。
えっ?
遅い?
着ぐるみ魔女だとすると、今は象?
鼻をかいくぐって、優菜が麻里という少女に触れる。
その触れたところから、相手は白く凍っていく。
フローズンワールド。
もう、こうなってしまったら逃れられない。
優菜の目の前には氷の彫像のような麻里の姿があった。