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09 魔獣ビルディング

 丸重センタービル

 渋谷駅前の40階建てのビル。

 かつてはファッションビルとして、有名だったらしいが、

 今は廃ビルのような薄汚れた風貌を晒している。

 でも、ここには誰もいないのじゃなくて・・・

 たくさんの不法占拠者がいるらしい。

 一度中に入ったら二度と出られないビル。

 そのような噂さえ立っていた。

 でも、普通の人ならまず入ってみようとも思わない。

 それどころか、駅前なのにその一帯だけ

 線を引いたように、人通りが途絶えている。

 人はそのビルの名前を文字って

 魔獣ビルと呼んでいる。


 その20階が今回の取引場所。

 睦美さんがとらわれている場所だ。

 あわただしく走り回るスタッフの人。

 今回の取引は、美那子さんのチームが受け持つ。

 私たち、沙耶香さんのチームはフォローに回る作戦になっている。


 たぶん、愛莉さんや沙耶香さん、希美は何するかわかんないってとこあるから・・・

 もしかして、わたしも同類なの???

 

 9人でビルに入る。

 遠巻きにこちらを見るアンダーグラウンドな人たち。

 でも、なにも仕掛けてこない。

 今回、真剣なわたしたち。

 チンピラを寄せ付けないようなオーラを放っている。

 

 エレベーターホールを抜ける。

 壊れて開いたままのエレベーター。

 マジ、20階まで階段なの???

 がっかり顔のわたしを胡桃が肘でつつく。

 

 愛莉さんが一人の男を捕まえて、

 階段の場所を聞く。

 怯えたように、その方向を指差す男。


 その指の先にいる人たちは、道を空ける。

 薄暗い階段が見える。

「ありがと・・・」

 愛莉さんは軽々とその男を放り投げる。

 普段の愛莉さんと全然違う。

 ピリピリした空気の中。

 私たちは前に進む。


 私たちを待ち伏せるんだから、

 罠とかあるかもしれない。

 でも、このメンバーには関係ない。

 もう、無敵って言っても、言い過ぎじゃない。


 5階まできたところで、廊下を塞いでいる巨大な物体。

 その横に男がいる。

「待てよ。ここからは通さないぜ」

 熊のような、ゴリラのような

 毛むくじゃらの物体。

 美那子さんは歩みを止めない。

「玄武さんに言われてるんだ。

 おまえらをやっつけたら、

 幹部にとりたててもらえるってな」

 美那子さんは返事をしない。

 ただ上っていくだけ。

 牙をむき出して吼える魔獣。

「なんとか言えよ。

 仕方ないやってしまえ!」

 男の声が上ずる。

 美那子さんは魔獣のすぐ前、

 手が届くくらいまで近づいている。


「じゃまだよ!」

 美那子さんはバスケットボール光弾を出し、

 軽くパスするように魔獣に放る。

 鋭いパス。

 光弾は魔獣に跳ね返って、美那子さんの手に戻る。

 それだけで、魔獣は消えてしまう


 まさに瞬殺。

 私たちでなければ、何が起こったのかわかんないくらい。


 カメラを意識した私たちとは違う。

 とりあえず、仲間を助け出すこと、

 これが、私たちの最大の使命だった。


 私たちは、何にじゃまされることもなく、

 階段を上がっていった。


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