21 最強の先輩たち
「おまえらカッケエよ。イケてんじゃん」
「あなたたちもなかなかやるじゃん」
わたしたちは覇流と犬神と合流して、3人の敵と対峙する。
もう、やつらに手はない。
「なんか勘違いしてないか」
黒衣のスキンヘッドがあきれたような仕草で両手を上げる。
その手には新たな試験管。
そのほかの男たちも、昆虫やら爬虫類を手に持っている。
そう、やつらの技はただ巨大化するだけなのだ。
魔獣を倒されると、力を失う魔獣使いと違う。
そして、彼らが操るのは昆虫とか小さなもの。
どれだけ持っているのかわかんない。
巨大化するエネルギーはどんなものかわかんない。
やつらの表情は余裕、最低でもニ三体は巨大化できるだろう。
とりあえず、隙を見て止めるしかない。
それができるのはわたしたち。
光球や円月輪で能力者自体を倒す。
わたしたちは目で合図しあう。
じりじりとした緊張感。
失敗するわけにはいかない。
その時!!!
3人の男達はいきなりドサっと倒れる。
えっ???
どうしたの???
そして、その後ろに立つ影。
その正体は…
そう、倒れた彼らの後ろには、真奈美先輩、美那子先輩、睦美先輩の姿。
「何やってんの?」
「もっと考えて動けよ。ヤバすぎじゃん。ファンにもしものことあったらどうするんだよ。
あとで、反省会ね」
「あんたら魔女でしょ。マジでこういうときに真正面から当たってどうすんの」
やっぱ、先輩たち、最強すぎ。
わたしたちと違って倒されたふりをして、機会をうかがってたんだ。
それにくらべて闇雲に突っ込むわたしたち。
全然、違うし、かなわない。
「まあ、でも、こいつらもこいつらなりに頑張ったんだし」
真奈美さんがわたしたちの前まで歩いてきて、わたしと春香の頭を撫でる。
「うん、まあ、まぐれだけど結界に気が付いたのは美月だしね」
睦美さんもフォローしてくれる。
「じゃあ、説教は少なくしとくか。
ファンに迷惑かけたから、公演の日程も相談しないとならないし、美月が会場を壊しちゃったっしね。
頭痛いよ。」
美那子先輩も微笑む。
軍の人たちが、3人の能力者を取り押さえる。
「じゃあ、行くよ」
先輩たち3人は前を歩いていく。
「めっちゃかっけえ。
ねえねえ、この後お茶でもどう?
俺、覇流。そんで、こっちのでっかいのが慎」
覇流が先輩たちを追いかける。
犬神はしかたないなって顔をしてその後を歩いていく。
でも先輩達は相手にしない。
おいおいって思いながら、わたしたちもゆっくりとその後に続いた。