03 収録(1)
6人でスタジオに入っていく。
ディレクターにあいさつする美弥子さんとマネージャー。
東都ではチャラチャラしているテレビ局の人が多いのに、礼儀正しい感じの人たち。
でも、みんな無愛想っていうか、事務的な感じ。
セットもキラキラじゃなく。
落ち着いた黒と白に統一されている。
立ち位置を決めて、前説が始まる。
これもコメディアンの人がやるのではなく事務的。
トークもバラエティ色はなく、リーダーの美那子さんだけ。
美那子さんは台本を再確認。
わたしたちはただ微笑んでいるだけってことになっている。
純粋な歌番組って感じで。
東都ではこの手の番組はない。
年末の番組くらいかな。
それでも、もっと華やかな感じ。
衣装もすこし押さえられて、ただの原色系といったもの。
カウントダウンが始まる。
10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…
オープニングの音楽。
年配の男性アナウンサーが中央に歩いてくる。
「みなさま、こんばんは…
ミュージック・ナウの時間です。
本日は、東都からのお客様…LOVE★WITCHESです」
拍手とライトにつつまれるわたしたち。
みんなで礼をする。
マイクが美那子先輩に向けられる。
「LOVE★WITCHESです。
東都からきましたぁ」
拍手が鳴り響く。
「東都ではトップアイドルですが、北都でもネットの動画ですごい人気なんです。
待望のミュージックナウ初の出演ということになります」
「みなさ~ん。応援ありがとうございます」
「メンバーは12人とういことですが、今回は6人ですね」
「ええ、東都の防衛も兼ねているから選抜メンバーです。
でも、12人分がんばります」
「東都では魔女が街を守っているということですが、
女の子に防衛を任せるなんてね。
北都ではそんな必要もありません。
最強の北都軍がありますからね。
それに、ここではあなたたちの力も使えないでしょう。
安心して音楽とダンスに集中してください」
上から目線のMC。嫌な感じ。
わたしと優菜は顔をしかめる。
でも、美那子さんは表情を変えない。
「ありがとうございます。
サイコーのテンションでがんばります」
「では、スタンバイお願いします」
わたしたちはステージに集まる。
LOVE★WITCHESメドレー。
証明がわたしたちを照らし、イントロが流れる。
わたしたちはセンターの美那子先輩の合図で、自分のパートに散りダンスを始めた。