01 プロローグ
頭領さんたちに見送られて、列車に乗り込む。
宇宙さんたちにお土産とか持たせてもらって…
でも、こんなもので美那子さんの機嫌がなおるかなっ。
なるようになる。
ケセラセラ。
プラス思考、プラス思考。
うーっ。
列車は走り出す。
まあ、とりあえず美那子先輩に怒られるのも体力いるし…
いまのうちに寝ておこうっ。
心地よい揺れに身を任せて、いつの間にか眠ってしまう。
わたしの特技のひとつ。
どこででも寝れるし、3分で眠ってしまう。
春香がその能天気さ、うらやましいって言うけど、
やっぱ、睡眠時間少なすぎだし。
誰だってこうなってしまう。
美那子さんも身体を効率的に休めることを覚えろっていう。
これから、長いんだからって。
この世界は短距離走じゃなくて、長距離走だって。
春香がわたしをつつく…
「うーん、なんだよぉ」
気持ちよく眠ってるのに…
目を覚ますと、さっきまで山の中だった風景は砂漠になっている。
黄色い世界。
その向こうに蜃気楼のように大きな街が見える。
それはわたしたちの東都とは違って、機械でできた要塞。
「あれが、機械都市、北都よ」
アニメで良く見るような未来都市が目の前に広がる。
砂嵐の中に浮かぶその都市の姿は幻想的な絵画のようにも思える。
えーと、北都はわたしたちの東都と違って、砂漠が広がる不毛の地にある。
東都や西都が魔法石を使った魔導力をエネルギーにしているのに対し、石油や石炭といった化石燃料と化学燃料をエネルギーとして使っている。それは、この砂漠が自由都市の結界となっている。魔法を消す力がある結界石といわれる反魔法物質が地殻を作っている。その北には北海があり、その北には大陸がある。大陸には強大な魔法力を持つ国々があるが、この結界が北の脅威から、自由都市を守っている。その安全な結界に作られたのが北都という都市だ。そこでは魔法の代わりに科学という力が崇拝される。その力は魔法結界の効果を全然受けないため、この地では魔法使いは一般の人となんら変わらない力しか持てない。これが、地理の時間に習ったこと。もっと難しいこともあるんだけど、大体こんな感じだ。
だんだん大きくなっていく機械都市。
近づくにしたがって、そのすごさが体感される。
そう、まるで別世界…
わたしたちの東都とはまったく違う。
列車は都市の周りを回るように迂回し、大きな門にたどり着く。
その巨大な門が開くと、列車はその中に吸い込まれていった。