17 真奈美vs宇宙
「もう終わり?
やっぱへたれね。真奈美は…」
余裕の表情の宇宙。
真奈美先輩は闇につつまれてるだけ。
宇宙って、やばい能力者だ。
でも、闇の中からゆっくりと歩いて出てくる真奈美さん。
「全然成長してないね。
あの頃のままじゃん」
すこし悲しそうに宇宙の方に歩いていく。
その真奈美さんの姿が2つに分かれる。
そして、次にまた分かれて4人に。
「分身?」
驚いたように真奈美さんを見る宇宙。
「世の中には、もっと強いやつらがいるんだよ。
この里にこもっても成長は望めない。
わたしらより強いやつっていないからね。
最近はいくさもないし。
今のわたしたちではこの里も守れない。
紅葉や七星じゃあ、この子たちにもかなわないしね。
だから、外の世界に出たの。
宇宙を見る限り正解だったみたいね」
「うるさい!」
宇宙は4人の真奈美さんに闇を投げつける。
でも、闇は透けるように真奈美さんを捕らえられない。
闇をすり抜けるように前に歩いていく。
「ワンパターン!
少しは考えなきゃ」
だるそうに半目で宇宙を見る。
「わたしに勝てなかったじゃん!
すっと勝てなかったじゃん!」
「うん。あの頃はね。
でも、今は宇宙の攻撃なんて、全然効かないよ。
悲しいくらいにね」
宇宙の目の前の真奈美さんが消える。
「ここだよ。
最初から、ここにいるよ」
真奈美さんは後ろから宇宙を抱きしめる。
ばたばたとあがく宇宙。
でも、真奈美さんは話さない。
「弱かったじゃん。
真奈美ってへたれだったじゃん」
「うん」
「これじゃあ、わたしじゃ相手にならないじゃん」
「うん」
「そんなの嘘だよっ」
宇宙は泣き声になる。
真奈美さんはその宇宙をギュッと抱きしめて、彼女の頭に頬をつけた。