15 第三の門
3つ目の門が見える。
その前にはいちばん背の小さいくのいち。
小学生くらいにも見える。
でも、列車の前ではセンターだったし、くのいちの頭なのかも。
それにしても最強なんて思えない。
ピョコンと立ち上がって、わたしたちをにらむ。
「えーっ。もう来たの?
紅葉も七星も使えねーよな。
時間稼ぎにもならないよ」
不満そうに頬を膨らませる。
「そこそこ強かったよ。
LOVE★WITCHESの敵じゃないけどね」
挑発に乗る春香。
仲間をあんなふうに言うなんて許せない。
「でも、ここは通れないよ」
「そう、どうする美月。
わたしが行こうか。
こんなお子様相手に2人がかりは大人気ないよね」
別に相手を舐めてるわけじゃない。
でも、これが春香のプライドだ。
「いいよ。別にふたりがかりでも」
春香が円月輪を構える。
一瞬、宇宙のところから黒いものが延びて円月輪を叩き落す。
地面を転がる円月輪。
そして、春香の足元から何かが伸びて体にからみつく。
触手のような黒いもの。
でも、輪郭がぼやけて実体じゃない。
あえていうなら闇。
暴れるけど、その闇は解けない。
それどころか、春香を包み込んでしまう。
やばいっ。
わたしは光球を出す。
でも、すかさずわたしの足元から伸びてくる触手に7つともつつみこまれる。
それだけじゃない。
わたしの足元からも伸びてくる闇。
飛んでにげようとする。
でも、その闇に足首をとられてしまう。
その場に倒れてしまうわたしの身体に伸びてきた闇が絡み付いた。
「闇の使い手、宇宙。
だから、2人がかりで良いって言ったのに」
わたしを見下ろす宇宙の目が赤く妖しく光った。