14 くちげんか
空から墜落する七星。
それをトールは雷のカーペットで受け止める。
そう、これも魔神であるトールの技。
前には弾丸を止めたこともある光の盾。
すこしビリビリするかもしれないけど、地面に衝突するよりまし。
ゆっくりと七星を地面に下ろす。
すぐに気が付いて、上半身を起こす七星。
「あれっ。負けたの。
仕方ないねっ」
そのまま、ゆっくりと立ち上がり門の方に歩いていく。
扉に鍵を差込んで押す。
ゆっくりと開いていく鉄の扉。
「行きなっ。
でもさぁ。次の扉はたぶん開かないと思うよ。
だって、宇宙は最強のくのいちだからね。
あんたら程度じゃあ、太刀打ちできないよ。
たぶん、秒殺だろうね」
わたしたちは、七星とすれ違い扉をくぐる。
門の先には山道が続く。
でも、もう2つの門をクリアしている。
遠くから見た門は3つ。
真奈美さんをむかえに来たくのいちも3人。
あと、1つだ。
「美月。あいつの弱点ってあそこまで思いつかなかったの?
何回も衝撃波にとばされてさぁ。
こんなことしてたら、身体持たないよ。
できるときは秒殺しなきゃ」
道すがら今の戦いの反省点を検討する春香。
春香らしいといえば春香らしい。
とにかくストイックな考え方をする。
「でも、春香だっててこずってたじゃん」
「今の敵はすごくわかりやすかったよ。
研修所でやったでしょ。
相手の弱点を見極める。
それまで、最小の被害で体力を温存して耐える。
いきあたりばったりじゃだめだって」
「うん…」
すぐに言いくるめられるわたし。
でも、先輩たちはここまで細かくは言ってくれないんだけどね。
愛莉先輩はいいかげんだし、沙耶香先輩は何もいわないし。
感謝してるよっ。
「でもさぁ。
ちゃんと倒したじゃん」
最初の作戦とちがうんだけど、これは黙っておこう。
わたしたちは口げんかを続けながら山道を登っていった。