10 反撃
春香の投げた円月輪は次々と叩き落とされる。
ニヤリと笑う紅葉。
春香は振り返る。
春香も不敵に笑う。
「これで、終わり…だね」
足元の円月輪を拾う。
「破壊輪。
たのんだよ。ビーナス!」
「しかたねえな。壊してやるよ」
春香が頭上に上げた輪が光を発する。
それを投げる。
また、防がれて終わり?
でも、紅葉は防がない。
飛んで逃げるだけ。
そういえば、紅葉の手首にはブレスレット。
足首にはアンクレット。
「ちっ…」
舌打ちをする紅葉。
円月輪はそのまま門を貫く。
こなごなに破壊される門。
そう、もう紅葉の能力は封じられている。
紅葉の肉体の一部を巨大化する能力。
それは、数秒しかもたないのだ、だから消えたり現れたりする。
わたしたちを翻弄するためじゃなくて必然なんだ。
そして、それを見抜いた春香は、隙をみて腕と足に円月輪枷をはめたのだ。
枷をはめられたら巨大化することはできない。
もし巨大化したら、腕や足が千切れてしまう。
もう、紅葉は逃げるしかない。
「ふぅ…わたしの負けだよ。
通っていいよ」
紅葉は悪びれずに言う。
「じゃあ、遠慮なく。
ひとつ言っておくけど…
LOVE★WITCHESをなめんなよ」
春香は中指を立てる。
「あぁ、でもあたしらも舐めんなよ。
あとの2人はこんなもんじゃないよ」
「覚えとくよ。でも、LOVE★WITCHESの敵じゃないけどね…。
行こっ。美月」
「う…うん」
わたしたちはゆっくりと門をくぐって次の関門に向かった。