06 追跡(2)
いつまでたっても森。
時々、スマホを確認したり、木に登ったりして周囲を確認する。
「あれ。なんだろ。あのあたりだよね」
春香が山の方を指差す。
正直いって、GPSの画面をみても方向とかわかんないわたし。
わたしって地図が読めない人だし。
見当違いの方向を見ていたわたしは春香の指した方向を見る。
山の頂上に白い壁のお城。
それにいたる道には、同じく白壁の3つの門が見える。
いかにも、忍者って感じの建物だ。
この国はかつて侍とか忍者が活躍した時代がある。
わたしたちの都市はその後近代化ってされたんだけど。
そのまま、発展した国もある。
たぶん、東都と北都の間もそういうところ。
そして、統一されることもなく、小国どうしで戦い続けてるといわれている。
くわしいことはわかってないみたいだけど。
春香がわたしになんか放る。
わたしはそれを受け取る。
『美味しい棒』。棒状のお菓子だ。
腹持ちも良くて、カロリーとか栄養分も取れるすぐれものだ。
それも、濃厚かにみそ味。
なんて、マニアックな。
春香の食べてるのは…。
人気ナンバーワンのコーンポタージュ味。
ず…ずるい。
まあ、しかたないかぁ。
袋を開けて、かじる。
濃厚なかにの味が口いっぱいに広がる。
さすが、ビールのおともナンバーワンだ。
「じゃあ、行こうかっ」
「うん」
わたしたちは身軽な動きで、木のてっぺんから飛び降りた。