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LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第4部 BLACK★WITCHES
163/344

60 決着

 目の前が真っ暗になる。

 春香の拳がわたしにヒットした衝撃を感じる。

 わたしの手にも手ごたえあったんだけどな…

 やっぱ、強いよ。春香は…

 頭の上で裕也のカウントを告げる声・・・

 1…2…3…4…5…

 立ち上がらなきゃ。

 手をついて身体を起こそうとする。

 でも、動けない。

 足がいうこと聞かない。

 6…7…8…9…

 無情に告げられるカウント。

 なんとかしなきゃ。

 あせる気持ち。

 でも、どうしようもない。

 ごめん…みんな…

 やっぱ春香には勝てなかったよ。

 涙がこぼれる。


 10……

 ゴングが連打される。

 終わったんだ。

 寝転がったまま、春香のウィニングコールを待つ。

 リングの中に沙織さんが入ってくる。

 わたしの顔を心配そうに覗き込んで、ヒーリングをはじめる。


「今の試合について説明します。

 10カウント以内に両者とも立ち上がれなかったため。

 両者ノックアウト、引き分けとなります」

 アナウンスが流れる。


 引き分け?

 春香は?


 わたしはヒーリングで楽になった上半身を起こす。

 向こうには倒れたままの春香。

 BLACK★WITCHESは誰も春香のまわりに集まっていない。

 わたしは立ち上がる。

「まだ、立っちゃダメだよ」

 沙織さんの制止を振り切って、春香の方に歩いていく。

 春香のところに行って、手を差し伸べる。

 春香がわたしを見上げて微笑む。

 それから、わたしに手を差し出す。

「あ~あ、やっぱ、美月にはかなわないや。

 最後の最後でひっくり返されるよね」

 わたしの手に春香の重み。

「そんなことない。

 わたしこそ春香にはかなわないよ」

「美月といっしょに戦いたいな。

 待ってて、絶対にLOVE★WITCHESに入るから」

「うん!」

 立ち上がった春香と握手をする。

 見つめ合う私たちを会場の大きな歓声が包み込んだ。


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