59 神の戦い
すごい力…
身体が弾かれそうになる。
「耐えろ!」
足を踏ん張る。
でも、後ろに押されるようにじりじりと下がってしまう。
「とりあえずビーナスはなんとかする」
力強くゼノンが吼える。
ゼノンを支える腕が弾かれそうになる。
ゼノンも光を帯びる。ビーナスと同じように。
宝具どうしの戦い。それも神と呼ばれる武器たち。
いきなり手にかかっていた力がなくなる。
円月輪ビーナスが弾き飛ばされる。
前につんのめる私。
「互角だったな。美月が支えてくれているだけの勝利だ」
そう、円月輪は飛び道具として使われてた。
もし剣としてつかわれていたなら、本当に互角だった。
でも、契約したばかりの春香はそれを投げた。
ビーナスも春香の力を必要としなかった。
それが、わたしとゼノンの勝てた理由。
「これで、ビーナスは動けない。
わしも動けないがな」
手にしていた剣が消える。
ありがとう守ってくれて…
もう、負けるわけにはいかない。
LOVE★WITCHESのために。
そして、ゼノンやルシフェル、わたしを助けてくれたみんなのために。
もう、光の球を出す力もない。
春香も同じ。武器を失って、体術しかない状態。
春香がどんな鍛え方してきたのかわかんないけど。
わたしは、真奈美さん、美那子さん、愛莉さん、胡桃。
みんなの戦いを見てきたし、いろいろ教えてもらったりもした。
負けるわけないんだよ!
春香に近づいていく。
足がふらつく。
春香もこっちに歩いてくる。
同じく肩で息をして、フラフラな足取り。
でも、2人とも笑っている。
「いくよっ。春香」
「ああ…」
わたしたちは拳を構える。
そして、2人とも渾身の一撃を相手に向けて打ち出した。