54 八津手キリコ
とりあえずわたしには光球がある。
7色の球を前に並べる。
勝算はないわけじゃない。
わたしに髪の毛の鞭が襲い掛かる。
とりあえず逃げるしかない。
隙を見て、光球をぶち込む。
次々に襲い掛かる髪の毛。
わたしの逃げ足をなめんじゃない。
すばしっこさには自信がある。
髪の毛はわたしを捉えきれない。
「これは逃げ切れる?」
2方向からの攻撃。
大きくジャンプしてかわす。
やばいギリギリ。
そこに3つめの髪の毛触手。
足を払われる。
結構スピードのあるわたしはその場で転倒してしまう。
でも、つぎの攻撃は来ない。
「最後の戦いがこれじゃあね。
がっかりだわ」
まだ、決める気はないみたい。
この余裕、後悔させてやる。
わたしは立ち上がる。
そのまま、光球を相手にぶつける。
いけぇぇぇ!!!
でも、髪の毛を伸ばして光球たちは次々と叩き落される。
「つまんないなぁ。
この程度なんて、まだなにかあるんでしょ。
猫とか、剣みたいな」
出せたら出している。
もう、猫さえ出す力はない。
「じゃあ、こっちから行こうかな…」
つまらなそうに髪の毛をかきあげる。
髪の毛が伸びて襲いかかる。
わたしも右に左によける。
さっきとは段違いのスピード、手数。
キリコの髪が左手首にまきつく。
振り払おうとするけど、だめ。
捕らえられたわたし、今度は右手・・右足…左足…
それから腰…
そのまま、宙にもちあげられる。
空中にはりつけにされるわたし…
「ギブアップなんてしないよね。
せいぜいいたぶってあげる…」
もがく私の前で、キリコの哄笑が響き渡った。