51 剣神ゼノン
もう、打つ手はない・・・
あとは、魔神召還くらい・・・
でも、今の力じゃ猫くらいしか・・・
でも、あいつは大魔王だって自分で言ってたし・・・
とりあえず出せば、なんとかしてくれるかも・・・
一縷の期待を持って、紫の球を戻す。
他の球は相手の黒い球に立ち向かう。
次々と弾かれる、赤青緑の球・・・
ルシフェル出てきて!
紫の球に思いを込める。
「無理だニャア。
力が足りないニャア」
「でも、さっきは・・・」
「さっきからだいぶ力を使ってるニャ」
「じゃあ、誰なら呼び出せるの?トール?シルフ?」
「僕たちも無理だよ」
トールの声。
「ああ、もっと小さいものじゃないとね」
シルフも。
「猫より小さいのいるの?ねずみとかリスとか」
「・・・・・」
みんな考え込む。
「俺を呼び出せ!
我は剣神ゼノンなり!」
黒い球がわたしの前で跳ねる。
剣神・・・・
強そうじゃん。
「頼むねっ!ゼノン!」
わたしは黒い球に願いを込める。
空高く上がる黒球・・・
そして急降下・・・
地面に落ちる・・・
そこには1本の剣が突き刺さっている・・・
わたしは、その剣に近寄る・・・
「ばーか」
その前に剣の柄を取る紫苑。
意味ねえじゃん。
相手に取られるところに落ちるなんて・・・
わたしの虹球の精たちってなんか抜けている。
紫苑が剣を地面から抜こうとする。
でも、抜けない・・・・
チャンス・・・
わたしも剣に近寄る・・・
紫苑を押しのけて、剣の柄を取る・・・
一瞬で抜ける剣・・・
そのまま飛びのく・・・
わたしの手に1メートルくらいの西洋剣・・・
とりあえず、これを武器に戦うしかない・・・
あの黒い球が変化したものだから、たぶん何か力を持っている・・・
何でも斬れるとか・・・
でも、よく考えたら・・・
剣なんて使ったことない・・・
体術は真奈美さんの特訓があるけど・・・
麻衣さんは来るものは拒まずだけど、自分からは教えない。
習ってるのは希美と優菜くらい・・・
こんなことなら、練習しとけばよかった・・・
考えるわたしに隙ができる・・・
それを見逃す相手ではない。
光の球を左右から打ち込んでくる・・・
えっ・・・
自然に身体が動いて剣で左右からの球を弾く・・・
「我は宝具の王・・・剣神ゼノン・・」
手に持った剣は吼えるように鳴動した。