表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/344

03 デート???

 逃げ込んだ路地裏。

 男は身をかがめてわたしの顔を覗き込む。

 なんか顔が赤くなる。

 こんなに男の人と接近するのって最近なかったから。

「名前は?」

 何、こいつ、新手のナンパっ?

「人に名前聞くときはまず自分からでしょ?」

「ああ、わりい。俺、大和」

「うん、わたしは美月だよっ」

「じゃあな。礼はいらないからな」

 大和は立ち去ろうとする。

 でも、わたしはそのジャンバーの袖を掴んで離さない。

「なんだよ。礼はいらないって・・・」

「はぐれちゃったじゃん」

「えっ・・・」

「一緒に探してよ・・・」

「俺忙しいから・・・」

「わたしまで逃げる必要はなかったんだからねっ。責任とってもらうよ」

 大和を睨む。

 困った顔の大和。

「じゃあ、どこまで送ればいい?」

「うん、ここまで・・・」

 バックの中からガイドブックを出す。

 クレープのおいしいお店。

 たぶん、胡桃はここにいると思う。

「あぁっ、ここかぁ。知ってるぜ」

 彼はゆっくりと歩き出す。

 わたしは彼の袖をつかんだままその後についていった。


「おいひぃ」

 わたしはチョコバナナクレープに噛り付く。

 やっぱ、有名なだけある。

 生地はしっとり薄くて、チョコとバナナのコンビネーションも最高。

 思わず大和に微笑んでしまう。

「じゃあ、俺はここで」

 席を立とうとする大和の袖を掴む。

「ここにはいなかったみたい。ごめんね。次はここだよ」

 またガイドブックを指差す。

 行ってみたかったお店を指差す。

「ほんとうに。ここにいるんだな」

「うんうん」

 顔を縦に振るわたし。

 次こそ絶対。

 胡桃と約束したんだもん。


 ブティック2件・・・

 雑貨屋3件・・・・

 甘味処・・・・


 大和といっしょにいろいろなお店を回る。

 荷物は大和が持ってくれるし・・・

 決して押し付けたんじゃなくて・・・

 まあ、自発的にってやつ・・・

 なんか顔はひきつってるけど・・・・


 あとはあそこしかない!!

 ケーキバイキングっ!!


「ねえ、大和っ。なんでコーヒーしか飲まないの」

 4つ目のケーキと格闘するわたし。

「甘いの苦手なんだよ」

 わたしから目を反らす。

「でも、郷に入っては郷に従えっていうじゃん。わたしの計算では3個たべないと元をとれないの」

「だから、おまえが食ってるのみるだけで胸焼けするって感じなんだよ」

「フーン。わかんない。こんなにおいしいのに。ケーキおかわりっ」

 

 その後、わたしをじっとみる大和。

 クリームでもついてるのかな?

 ちょっと口の周りをぬぐってみる。

 大丈夫そう・・・・

 もしかして、わたしがかわいいから????

 ちょっと顔が赤くなってしまう。

 こんなにじっと見られたことないから。

 まるでデートしてるみたい。

 なんかドキドキしてしまう。


「何みてんのよ」

 大和が微笑む。

「あぁ、あいつに似てるなって思ってさ」

「あいつって」

「おまえみたいに、自分勝手で、おっかなくてさ。

 それでいてかわいいところもちょっとだけあるって感じでさ」

「元カノ」

「そんなのじゃない・・・・

 親友って言った方がいいのかなぁ」

 遠くを見るような目の大和。

 

 こんなことしゃべりながらも、わたしのケーキの皿は空になる。

「次はレアチーズケーキ」

「まだ、食うのかよ」

 あきれたような顔をする。

「うん、この列のケーキ全部食べるの」

 メニューを指差す。

「仕方ねえな。コーヒーおかわり」

 大和が微笑む。

 なんか、かわいい。

 わたしは幸せな気分にひたりながら、ケーキを食べ続けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ