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LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第4部 BLACK★WITCHES
147/344

44 鉄槌vs虹球

「winner、中津川~唯~」

 高らかに興奮した声でアナウンサーがコールする。

 無敵と思われているLOVE★WITCHESが2人抜きされるなんて思ってもいないことが起きたから。

 真奈美さんは、胡桃に肩を借りてリングを降りる。

 会場にはLOVE★WITCHESファンの悲鳴のような声援。

 

 その真奈美さんの肩をポンと叩いて愛莉さんがリングに上がる。

 真奈美さんみたいに気負っていない自然体。

 愛莉さんはこういう飄々としたところがある。

 あんまり深く考えていないというか…

 何考えてるのかわかんないっていうか…


 大金槌をグルンと廻す。

 それから、中津川を金槌の先で指差す。

 さあ、はじめようかって言うように。


「赤コーナー、中堅~破砕の鉄槌~加藤愛莉~」


 愛莉さんがコールされる。

 元売れっ子ファッションモデルだった愛莉さん。

 長い手足が、子供っぽい中津川と対照的。


「LOVE★WITCHESのバカメンバー。

 本当にバカっぽいね」

 中津川は挑発する。

 そう、大体わかった、この子の挑発に乗るとやられる。

 こいつの姉、朱雀とそろって性格悪~って感じ。


 でも、愛莉さんは動じない。

 どこ吹く風って感じで、金槌を構える。


 裕也のリングチェック…

 愛莉さんの手首のゴールドの3連リングをチェック…

 問題なしっていうように離れると…

 ゴングが打ち鳴らされる…


「ちょっと疲れてきたから、

 ペース上げようか…

 あと3人だもんね…」

 そう言うと腰につけたストローを抜き取って口にくわえる。


「虹球シャワー…」

 細かなシャボン玉が無数に吹き出される。

 中津川のシャボン玉は2種類。

 毒と爆弾。

 どっちのシャボン玉なの?

 どっちにしても、金槌使いの愛莉さんは破壊するしかない。

 爆発するか…

 毒をまきちらすか…

 愛莉さんには他の技はない…

 ただ爆発にめげずに持ち前のタフさで突っ込むというくらいしか…


 愛莉さんは肩に金槌を担いだまま動かない。


 愛莉さんを囲むように浮く無数のシャボン玉…


「何もしなければ、弾けないよね…

 はじけなければ意味がないだろ…

 守りだけの技だよね…これ…」

 シャボン玉に息を吹きかける…

 シャボン玉はゆっくりと吹いた方向に漂う…


「でも、勝てないだろ…

 時間切れ引き分けまで待つ?」

「そうだねっ…

 でも、それじゃあ、お前をフルボッコにできないしな。

 やっぱ、動こうかなっ」

 頭の上で大金槌を構える愛莉さん…

 そして、そのまま頭上の金槌をプロペラのように廻し始めた…



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