36 殴りこみ
控え室にみんなが集まる。
そう、今日のミーティング。
「みんな、ご苦労さん」
「お疲れ様です!」
美那子さんの声に、私たちは答える。
「まぁ、当然といえば当然だけど…。
明日も完勝だよっ!」
そうこのメンバーだもん勝って当然。
「はいっ!」
みんなが合わせた返事をする。
「今日もみんながんばったけど、勝つだけじゃだめ。
完膚なきまで、叩き潰す。
うちらにケンカ売った身の程知らずにね」
その時、突然、ドアが吹っ飛ぶ。
強く大きな音を立てて…
みんなそちらを振り向く。
壊れたドアから入ってくる6人の女たち。
BLACK★WITCHESだ。
今日出場のメンバーはいない。
でも、ここに簡単に入ってくるって…
ここはスタッフに守られてるはずなのに…
LOVE☆WITCHESの警備スタッフはみんなフォースを持っていて、わたしたちに劣らないくらいの強さを持っている。
それが簡単にこいつらを侵入させるなんて…
「きゃはははっ!
身の程しらずだってさ」
「ウケる!」
黄色い声で笑う奴ら。
「でも、今日は完全勝利だったでしょ」
静かに麻衣さんが言う。
「あぁ…あいつらねっ。
所詮、人数合わせだから」
「2軍…もしくは研修生ってとこ…」
えーっ!
今日だって、けっして楽勝じゃなかった。
ひとつ間違えば、どうなっていたかわからない試合もあった。
「ひとつくらい勝てるとおもったんだけどね。
ほんとうに使えねえやつらだよ」
後ろから放り投げるように6人の身体がわたしたちの前に投げ出される。
みんな満身創痍…
でも、試合でここまでボロボロになってなかった。
麻耶りんも…
わたしは麻耶りんに駆け寄る。
希美も輝美さんのところへ…
そして奴らをにらむ。
「あまりにもふがいないから、ちょっとヤキいれてやったけどね」
また甲高く笑うリーダーらしき長い黒髪の女。
仲間なのに…
あんなふうに…
ボロボロになるまで…
許せない…
わたしは立ち上がる…
その前に希美が奴らに向かう…
大剣は持ってないけど、小太刀だけで…
でも、最強の小太刀…
やっぱお姉さんがこんなにされたから…
希美の気持ちが痛いほどわかる…
腕を組んで笑う黒髪の女に突っ込む。
奴らも希美の強さは今日の試合で知ってるはず…
でも、緊張感もなく、驚いた風もない…
希美が奴らのところに近づいた時…
黒いものが希美に伸びる…
黒髪…・
あの髪の長い女から伸びる…
まるで蛇のように希美に絡みつく…
そのまま、希美を持ち上げる…
「このまま、八つ裂きにしてやろうか?」
余裕の微笑み…
たぶん今日のメンバーとは桁の違う強さを感じる。
でも、このままじゃ…
わたしが前に出ようとする…
それを制するように、沙耶香さんがわたしの前に立つ…
そう、こいつは別格。
たぶん、沙耶香さんと麻衣さんと睦美さんと同じクラスの魔女…
そして、そのカードをわたしたちは使い果たした…
「それで、用件は?」
冷静に沙耶香さんが話しかける。
「明日のメンバー表よ。
せっかく持ってきてあげたのに、通してくれないから…クスッ…
こんなことになっちゃうんだよ。
春香っ…」
希美くらいの背の青いショートヘヤーの女が笑う。
こいつも沙耶香さんの前でも普通に振舞う。
たぶん、黒髪の女と同じくらいの実力者。
春香が沙耶香さんに折りたたんだ紙を渡す。
その後、わたしを睨みつけて戻る。
この子のオーラも違う。
ただでさえ研修所の首席だった春香…
たぶん、あの時のままの春香じゃない。
「ありがと。
用は済んだわけね。
じゃあ、希美は返してくれる」
すごい迫力で睨み返す沙耶香さん。
「そうねっ。
じゃあ返すわ」
髪の長い女は希美を高く振り上げて…
わたしたちの方に叩きつけるように投げつけた。