31 影の弾丸
「勝負あったねっ」
勝ち誇ったようにアンナが言う。
悔しそうに右肩を押さえて立ち上がる麻衣さん。
「影の弾丸・・・」
麻衣さんが呻く。
「あらっ。わかったんだ。
さすがだねっ。
最初の弾丸に別の弾丸を重ねたの」
左手の銃を手品の種を見せるように出す。
「まあ、2度目は通用しないかもしれないけどね。
とりあえず右手はもらったから・・・」
「あとは左手でギブだねっ・・
両手が使えないと刀も振れないでしょ?」
さっきと同じようにゆっくりと構える。
銃声・・・・
キィン・・・
弾丸を弾く音・・・・
でも一回だけ・・・
たぶん・・・2発撃ってる・・・・
足を押さえる麻衣さん。
「ハハッ・・・
同じ攻撃はしないよっ。
今度は別のところを狙ったの。
まさか左腕を狙うわけないじゃん。
卑怯???
そんなこと言わないよね。
これが銃の戦い方だもん。
いっせーので堂々と戦ったら相打ちだよ。
銃はね・・・・
いかに相手の意表をつくかだよ。
昔の銃の使い手も後ろから撃ったり、いろいろしてたんだよ。
武士道・・・・
正々堂々・・・・
くそっくらえだねっ」
よろよろと立ち上がる麻衣さん。
「これで、ジ・エンド・・・・
今度こそ、左腕っ」
半身になってゆっくりと銃を構える。
そして、狙いを定める。
麻衣さんは突くように木刀を構える。
この戦いにピリオドを打つ銃声が響き渡った。