26 後継者
「さあ、はじめようか。
そういえば、お前は俺に勝ったことなかったよな」
嘲るように笑う大女。
希美は、黙ったまま輝美を見ている。
「そのお前が大道寺の後継者だと!
お笑いだな。
大道寺は一撃粉砕の最強の剣。
それをお前みたいな、ひ弱な娘が継ぐなんてな。
俺は認めない!
お前をぶっ壊して、父様が間違えてることを証明してやる!」
剣の先を希美に向け、大声で吼える。
でも、希美がひ弱って…・
ありえねえ…・
希美はそれに答えずに剣を構える。
半目がちだが強い意志を秘めた目。
まるで、剣で語ろうって言うように。
ゴングが鳴る。
いきなり飛び込む輝美…
両方の大剣を同時に振り下ろす…
ガキッ
金属のぶつかる音。
希美はそれを受け止める…
剣同士の押し合い。
だんだん後退する希美…
あの希美が力負け…
いったいどんな力なの?
耐え切れない希美は剣を払って…
横に逃げる。
2人とも大剣を振るっているのに、
普通の剣の試合のようなスピード…
達人同士の戦い。
輝美の動きは止まらない…
次の剣戟が希美を襲う。
片方の剣が振られ、希美の剣が受け止める。
その横から薙ぐように、もう一方の剣が振られる…
時間差を使った攻撃…
あの重い剣を軽々と2本も振る力…
変幻自在だということをアピールする。
希美の剣は単発。
それにくらべ、輝美の剣は…
すんでのところで逃げる希美…
防戦一方…
でもその希美にまた剣が襲い掛かる。
なんとか一撃目を受け止める。
でもその止まった剣をめがけて、もう一撃…
目の前で、希美の大剣は真っ二つに砕けるのが見えた。