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24 卒業儀式
崩れ落ちるように倒れる泰葉さん。
ゴングが鳴って、
沙耶香さんの勝ちがコールされる。
立ち上がる泰葉さん。
でも、微笑みを浮かべている。
「やっぱかなわねえな。
朱雀には」
「そんなことないよ。
わたしもヤバかったよ」
「うぅん、最初からわかってた。
こいつにはかなわねえなって…
初めてあったときからさ」
泰葉さんは続ける。
「でも、すっきりしたよ。
いつかやらなきゃいけないと思ってたから」
「そう…」
「うん、これでバカやるのも卒業。
ありがと。
付き合ってくれて…」
「うん…」
「なんか探すよ。
沙耶香みたいに一生懸命になれるもの」
泰葉さんはくるりと沙耶香さんに背を向ける。
ゆっくりリングを降りて歩き出す。
その泰葉さんを大きな拍手と歓声が包み込んだ。