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LOVE★WITCHES (魔女アイドルグループの物語)  作者: PYON
第4部 BLACK★WITCHES
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09 屋上

 研修所の屋上。


 春香は、フェンスを向いて遠くを見ている。


 なにも考えずに追いかけたけど…

 何を言えばいいのかわかんない…

 とりあえず、春香を追いかけたかった…

 それだけ…


 わたしは、春香の横に行く…

 何を話しかけるわけでなく、

 同じ景色を見る…


 本当の気持ち…

 わたしは春香にメンバーになって欲しかった。

 できれば、一緒に…

 春香がいなければ…

 たぶん、わたしはメンバーになれなかった。

 春香がいろいろ言ってくれるから…

 がんばれたんだ…


 ここからの景色…

 よく春香と見た…

 お弁当を食べながら…


 喧嘩したり…

 仲良くしたり…


「ごめんね」

 春香が口を開く。

 さっきまでの春香じゃなくて…

 ふっきれてさっぱりしたような…


「うぅん。

 春香が言うのが本当だよ」

 わたしも素直にそう言える。


「そうじゃないよ。

 美月は優菜よりもメンバーにふさわしいと思う。

 でも、自分の力をわかってないよ」


「うん…・」


「わたしも美月の力があればなぁ」


「でも、春香も伝説の武器の使い手じゃん」


「うぅん。

 わたしは使い手じゃないんだ。

 あれは無理やり手に入れただけ…

 わたしは伝説の武器に認められていないの。

 わたしが使ってもただの武器」


「そうなんだ」

 変幻自在に操られる円月輪。 

 ぜんぜん、そんなふうに見えなかった。


「でも、これで吹っ切れたよ。

 わたしは芸能界へ戻るわ。

 やっぱ、美月見てたら、背のびしてるのがバカらしくなった。

 アイドルってWITCHESだけじゃないんだ。

 まあ、今はいちばん輝いてるけどね。

 アイドルでは負けないよ」

 そう言って、わたしを抱きしめる。


 わたしは春香の震えを感じる。

 わたしは春香の肩に手を置く。

「ひっ…うっ…うっ…」

 春香の嗚咽。

 わたしも伝染したように涙があふれる。

 

 いつもの景色の中…

 2人は屋上で泣きじゃくり続けた。

 

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