07 メンバー選抜
「それでは、新メンバーの発表をします
呼ばれた人、こっちにきて」
安城さんが教壇で任命書を開く。
緊張の瞬間。
って言っても、今年は選ばれる可能性ゼロなんだけどね。
まあ、来年まできちっと研修して、それからなんじゃないかなっ。
みんなの予想では、春香と優奈。
あと、中等部に1人すごいのがいるっていう噂も聞いてる。
「藤崎胡桃さん」
「はいっ」
胡桃が立ち上がる。
えっ?
胡桃も。
ちょっと意外だけど、おめでとう。
でも、さみしくなるなぁ。
2人で次のメンバー入れ替え、目指してたから…
「氷室優奈さん」
「はい」
優奈が立ち上がる。
これは順当。
べつにだれも意外だとは思わない。
あとは春香だなっ。
となりの席をチラ見する。
「海崎美月さん」
えっ…
「美月っ」
隣の春香が小さく声をかける。
空耳っ???
「海崎美月さん」
安城さんがまたわたしを呼ぶ。
「は、はい」
わたしはピョンと立ち上がる。
みんなから失笑が漏れる。
わたしは、真っ赤になって教壇までぎこちなく歩く。
「以上3人。
あと中等部から2人の5人が新メンバーとなる」
えっ???
春香は???
春香の方を見る。
春香は心なしかうつむき気味にわたしの方を見ている。
その瞳は、わたしにはなぜか少し寂しげに見えた。