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 インターフォンの音で

 朝起きると

 ベットを占領する2人の子供たち・・・・

 胡桃は起きてベランダで筋トレ・・・・

 それを横目に目をこすりながらドアの方へ・・・


 昨日紹介されたマネージャーの小松原さんが立っている・・・

 美那子さんのマネージャーもしてたらしいベテランだ。

 

 わたしは朝食しながら、マネージャーと今日の打ち合わせ・・・

 なんかお仕事してるって感じ・・・

 昨日までと違って、いきなり大人になった気分・・・


 でも、スケジュールもすごい・・・

 もう分刻みって感じで・・・

 

 胡桃や栞・希美のマネージャーもわたしの部屋にくる。

 特に栞・希美のマネージャーは兼任だけど、なんか大変そう。

 しきりにわたしに謝って、

 今日中に2人の部屋をなんとかするらしい。

 どうみても、新人マネージャーって感じ。

 鼻までずれた眼鏡が彼女のあせりを表している。

 大変そう。

 スケジュールを言っても、栞はまだ寝てるし、

 希美は超不機嫌。

 この子の寝起きの悪さは筋金入りって聞いたことある。

 

 胡桃もマネージャーに怒られている。

 昨日、連絡せずに私の部屋に泊まったこと。

 かなり絞られてる。

 やっぱ、体育会系???


 マネージャーに連れられて本部ビルに・・・

 マンションと地下でつながってるから、ジャージ姿で大丈夫。

 マスコミ、ファン対策。

 表に出たら大変なことになるらしい。

 昨日までは普通の女の子だったのに・・・

 

 すれ違うスタッフの人たちと挨拶を交わす。

 わたしもだんだん戦闘モードになる。

 って言っても明るく振舞うだけなんだけど。

 アイドルらしく。


 案内されたお部屋にはいると、もう愛莉さんがいる。

 まだ沙耶香さんはいないけど。


「おはようございます!」

 元気に挨拶する。

「あぁ、おはよう。遅かったじゃん」

「ごめんなさいっ」

 愛莉さんは鏡の前でダンスの練習中。

 しなやかな身体、長い四肢・・・・

 見ていてうっとりするほど・・・・


 とりあえず、ダンスのレッスンだった。

 髪をくくって、

 愛莉さんの横で身体をほぐす・・・


「じゃあ、一緒に、ついてきて。昨日のステージ、間違いだらけだったよ。」

 あっ、ばれてたんだ。

 うまくごまかしたと思ってたのに。

 小さく舌を出す。


「ステップはこう・・・一回しかやんないよ」

 なんかダンスの時の愛莉さんって別人みたい。

 愛莉さんのステップを真似る。

「うん、そんな感じ。じゃあ、最初から。あわせて」

 研修所の時のレッスンと全然違う。

「止めるときはピタッと止めて」

 ちょっと緩慢になりがちなわたしのダンスの弱点を一発で見抜く。

「そうそう。でもそんなに息があがってちゃ。歌えないよ。ちゃんと基礎体力つけてね。」

 一緒に踊ってるのに、愛莉さんは息ひとつ乱れない。

 やっぱ、すごい。


「おはよっ」

 沙也香さんが入ってくる。

「おはようございます!!」

 踊るのをやめて挨拶。

「おっ、やってるねっ。感心・・・感心・・・愛利のいうことちゃんと聞くんだよ」

 私の頭をポンポンって叩く。

「はいっ」

 笑顔になってしまう。

「それから、歌はわたしが見るからね。厳しいよ」

「よろしくお願いします」

 ハスキーな沙也香さんの歌声が大好きだった。

 大人っぽいバラードも。

 わたしも沙也香さんみたいになれるかな。


 踊りの練習が終わったら、

 休憩タイム。

 もう、愛莉さんとおしゃべりができるようになっている。

 この先輩ってほんとうにとっつきやすい。


 もう、汗でベトベト・・・

 でもタオルで拭いて、歌の練習に・・・

 沙也香さんがピアノを奏でる・・・

 愛利さんとわたしは発声練習。

 今夜PVの撮影とかあるっていうし、新曲の練習しておかなくては。

 

 一通り、今日の新曲の練習をする。

 時々はいる沙也香さんの厳しいチェック・・・・

 でも、乗せるのもうまいから乗り切れる。

「美月は歌うまいんだから、基本に忠実にね。くずすのはいくらでもできるからね」

 とりあえず、3回くらいでOKがでる。


「美月、これ、歌ってみない?」

 楽譜が渡される。

「知ってるよね」

 コクンって首を縦に振る。

 うん、わたしの大好きな曲。

 沙也香さんがこの前のアルバムでソロで歌ってた歌。

 よく知ってるイントロが流れる。

 わたしは沙也香さんの目を見て歌い始める。


『この冷たい世界で

 なにができるのかな?

 戦いにあけくれて

 疲れ果て傷ついた心


 この荒れ果てた大地で

 何ができるのかな?

 苦しみもがいても

 明日はかわらないけど』

 

 沙也香さんの目が微笑む。

 そして沙也香さんが歌を重ねる

 

『瓦礫の中に埋もれて

 凍えきったこの身体

 暖めてくれるのは

 あなたの思い出


 あなたと笑ったこと

 あなたとケンカしたこと

 あなたとともに闘ったこと

 あなたとKissしたこと』


「うん いいよ。次のコンサートでやるからね」

 沙也香さんが言う。

「えっ、はい」

「じゃあ、最初からねっ」

 わたしたちは沙也香さんのピアノにあわせて歌の練習を続けた。 

 

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