初日。(嬬恋七海編)
時系列は前回と同じか少し前の時間です、嬬恋七海編です。
主要人物の初日をしばらく書いていきたいと思っています。
今日は、私の2回目の入学式。お母さんとお父さんと一緒に車で学校までやってきた。
学校は今校舎の建て替え中で、駐車場がせまいらしい。それでも、早めに来たから車も停められて、同じ塾だったり小学校だったりした友達と喋ったりして時間を潰していた。
15分ほどしただろうか。友達と喋っている私の前をあの人が通って行った。特に接点もない、学校も違えば通っていた塾も違う。向こうは私の事なんか知りもしないだろう。それでも、私はあの人が好きだ。そう言えるほどには想いは強かった。
さらに30分が過ぎた。お母さんがもらってきてくれた学年要覧には、各クラスの名簿も載っていた。私のクラスはBクラス。あの人の名前も、私の名前と同じ列に入っていた。ついでに他に知っている人がいないか探してみる。
(同じ塾の人は…?あぁ、綾瀬幸乃ちゃんがいた。よかった、仲がいい人がいて…。他には…霞ヶ浦裕太…?あぁ、あのデカイ人か。まぁいいや。あとは…まぁ、いいか。)
後で確認しておこうと思って要覧をカバンに片付ける。まだ軽い、白のリュックサックを背負い直し、ひとつ伸びをした。
そろそろ入学式が始まるから、とお母さんに急かされたのでトイレへ行き、帰ってくると職員らしき人に会場へと案内された。といっても、向かいのドアへと通されただけなのだけれど。Bクラスは舞台からみて右から二番目。椅子がたくさん並んでいて、どれに座ればいいのからわからなかったが、どうやら番号順らしいということがわかったのでちょこまかと移動する。
座ってみると、背の低い私にはパイプ椅子が高すぎた。それでも、なぜかお姉さんになったような気がして、悪い気はしなかった。
ところが、式が始まるはずの8時45分になっても、式が始まらない。1人の生徒が到着していない、あと五分だけ待つ、ということらしい。言われてみれば、三つ右へいった席が空席になっている。位置的に男子だろう。ー楽しみにしていた入学式なのに、待たせるなんて。私は、遅刻しているらしい生徒を少し呪った。
ほどなくして、右側からパイプ椅子が軋む音がした。到着したらしい。やっと司会者が話し始め、各先生方のお話が続く。長話を聞くのは好きな方ではないが、この感覚は久しぶりだな、と少し新鮮に感じた。
校長のお話も終わり、多少の説明があってから、1度生徒は教室へ向かうように、と放送で指示があった。Bクラスの担任らしい背の高いマントヒヒのような風貌の先生が声を張り上げ、列を整えて体育館を後にする。たくさんの生徒が歩き、見るからに古そうな体育館の床がギシギシ悲鳴をあげる。まだ空っぽのカバンを手にぶら下げ、白のリュックサックを背負い、私も歩き始める。体育館から1年生の教室までは少し距離があり、学校を構成する各棟を眺めることができた。
取り壊す予定のB棟とC棟はボロっちく、廃墟を少しよそ行きにした感じの印象を受けた。キレイだけど汚い。自分でもよく説明できない感想を抱いた。
ボロっちい校舎をくぐり抜けて、比較的新しく、取り壊す予定ではないA棟にある1年Bクラスの教室へたどり着いた。といっても、教室へ着いてもやることはなく、少し担任教師のマントヒヒの話を聞き、書類を配られて帰宅、となった。初日なので、他の人と話すような時間はなかった。もちろん、あの人と話すようなことは全くなく、内心少しガッカリしていた。だが、担任も出席確認すら取らなかったのだから、と自分を納得させて教室を後にし、お母さんとお父さんと共に車での家路に着いた。
前章では、早速のコメントありがとうございました!
リア充が…とマイナス的な(失礼)ご意見頂きましたが、ちゃんと恋愛以外も書きますし、ひとつふたつヒガミ充さんのお話も考えていますので、リア充万歳!派もリア充爆ぜろ!派も、共に楽しんで頂けると幸いです。
これからもよろしくお願いします。






