戦闘:ゾンビ編 九九式獣双撃
すみません、気分と妨害と忙しさで遅れました。
ゾンビ・・・人間が、操り人形となったもの。元の人間と同じだけの体力がある。心臓により生物の体液を循環させているため、弱点として扱われる。また、筋肉の操作に脳から指令を送っているため、こちらも弱点。
私達は、ラグナロクウォールの内部を進み、外装開閉ハッチまで来た。
「さ~て、ゾンビ狩り。始めますか。」
今のところゾンビしかいない。 そのかわり数が200ほどいるが・・・まあイケるでしょ。そんなことをモニターに映る元人を睨みながら、思っていた。するとモニターがカウントダウンに切り替わり、
カウントダウンがスタートしていた。軽機関銃のスコープの度を下げておく。・・・3・・・2・・・1・・・0
シュインと音を経ててハッチが開いた。私達は、絶望の讃歌を浴びながらラグナロクウォールへ突入した。辺りは廃墟で、防音処置で散布された砂塵が降り積もっていた。3列の足跡を刻みながら壁から離れていく。
「ちょっと早いけど、あたしはこの辺で。」
と言って、カーラさんはまだなんとか建っているビルに駆け上がっていった。こちらも中心部に向かって足を進める。そんななか、突如頭上から黒い影が襲い掛かって来た。しまっ・・・
「なんちゃって。」
影が急にあらぬ方向に飛んで行った。ベチャッ、という音をたてて影はゾンビとしての原型を留めないかたちで崩れ落ちた。さすがカーラさん、百発百中だね。
「さて、私達も・・・」
私は素早くうつぶせになると、二脚を広げ、伏射体制をとる。。覗いたスコープにゾンビの姿を捕らえた。
「Faiya」
反動でストックが肩に食い込む。空薬莢が視界の隅を飛んで行く。スコープの中のゾンビは、糸が切れたように動かなくなった。銃口を少しずらすと、新たなゾンビが目に着いた。
「どんどん殺していこう。」
「相変わらず早いね、咲守ちゃん。じゃあ僕も・・・」
蛍は、目にも見えない速さで敵の懐に潜り込むと、ゾンビを上半身と下半身とで真っ二つに斬った。
「負けていられないね。」
蛍の持っている日本刀の鍔から透明の液体が滴り、青い血を洗い流す。刀を横に払うと、液体が散り、地面に斑点模様を付けた。刀身は元の白銀に戻り、まだ斬り足りないと言わんばかりの輝きを放っている。足元で呻いていたゾンビを刺したからまた青く染まったけど。まだ大丈夫そうだ。私も再びスコープのゾンビを仕留めて行く。弾倉を空にすると、新しい弾倉をセットし、撃って行く。一回の連射で1~2体倒せるけど、なんせ数が多い。
「そろそろ行こうか。」
私は九九式軽機関銃の二脚をたたみ、肩に担ぐと腿の鞘からサクスを抜き、ゾンビに向かって駆け出した。
「九九式獣双撃 壱」
私達は、研究所で対歌声用の手術を受けさせられた。その手術とは、歌声によって死んだ生物の能力や体の一部を私達に移植するというものだった。人間には到底倒せないような生物も歌声の前には無力だった。
私に移植されているのはマンティコアという幻獣。キメラのような生物が合体した姿で、名前の意味は「人を喰う獣」。私と相性が一番合っていたのはこのマンティコアだった。顔は人間で、壱は、この力を使ったものだ。
内側から力が溢れてくる。向かって行くスピードがどんどん上がって行く。私は担いでいた機関銃を腰に構え、連射。元の私じゃあ倒れているであろう反動を強化した腕力で抑えつける。近づいて行く距離。
「喰らえ。」
九九式軽機関銃に付けた銃剣がゾンビの瞳孔を貫く。即座にゾンビの真上に跳ぶと、銃に体重を乗せ、さらに瞳孔をえぐり、首をあらぬ方向へ曲げる。サクスで上を向いたゾンビの眼も勢いまかせに貫き、最初に刺したゾンビの背後に着地し発砲。ゾンビの鼻を潰し、頭を吹き飛ばす。頭のない背中を蹴り付け、2~3人を巻き込みゾンビをドミノにする。また、サクスも抜き、隣のゾンビの首を横一文字に切り裂く。
「九九式獣双撃 弐」
私の眼が黒から青に変わる。と同時に周囲の音、臭い、感覚が研ぎ澄まされる。ただでさえ動きの遅いゾンビがさらに遅く感じた。これも人間の能力で、感覚が鋭くなる。私は一直線にゾンビの群れを突っ切る。筋力と感覚を強化した今なら擦れ違いざまにサクスで心臓を切り裂くのは楽勝でできる。九九式軽機関銃は銃身が長いから小回りは余り良くない。ゾンビの密度が薄い所まで進む。
「さてと・・・」
私は青くなったサクスを喰わえると、機関銃の弾倉を交換する。いい感じに集まってるね。辺りのゾンビが一斉に飛び掛かって来た。
「九九式獣双撃 参剃利」
ズルズルズルズル お尻からまがまがしい毒針をもった尻尾が生え出す。マンティコアの尻尾はサソリのもので、強力な毒を持っている。しかも、この毒針は飛ばすことできる優れものだ。飛び掛かって来たゾンビを機関銃、サクス、そして尻尾で回転しながら連続で繰り出していく。殺したゾンビは、踏み付け、文字通り山にしていく。最後に頂上から飛び降りると、振り向きざまに銃剣で首を飛ばした。
「ふー 片付いた片付いた。みんなの方はどうかな。(グ~)お腹空いたな。じゃあ食べちゃいますか。」
死体の山に登ると、腕を一本切り取った。
「あ~ん ん~?あんまりおいしくない。でもお腹の足しにはなるかな。」
むしゃむしゃと手を付けていると、
「あれ?珍しいね。君がこんなところにいるなんて。」
私は小さな影を見ながら弾倉を外した。
遂に戦闘シーンです。どうだったでしょうか?リアルでこんな芸当は無理です。でも、銃剣とナイフの二刀流はカッコイイと思うんだ。