オープニング
八多羽シノイヤの処女、または童貞作。小説を発表するという夢が叶いました。
東京は狂っていた。ある生物の出現により、その歌声は拡散された。歌声により大地は軋み、大気を振るわせ、水面を波立たせた。歌声を聴いた者はそのほとんどが発狂しすぐに果てた。いくら高度な防音処置を施そうとも、無意味だった。
しかし、無意味に思われた防音処置も全身を覆い隠せば少々の効果は出るが、果てることはないことが判明した。そしてその防音処置された 壁で生物の生息域を囲み、歌声を抑えた。そしてその壁を皆はこう言うのだ
「ラグナロクウォール」 と
ここはとある研究所。周りには護送車や大型トラック、さらにはヘリコプターまであった。引かれたばかりのアスファルトには、車両から滴り落ちたクーラーのものと思われる液体が一筆曲線を書いているが暑さのためにもう消えかかっている。建物は絵に描いたような研究所で全体は真っ白に塗られており、黒い窓がその表面を四角く窪ませていた。
研究所の地下に三人の人物が横たわっていた。三人共服は着ておらず、金属質なベッドに直接眠っていた。そして掛け布団のようにヌルリとした臓物や赤く血塗られた骨が身体の上に乗せられていた。三人の呼吸に合わせて少しだけ上下している。
そんな三人を見下ろしながら赤い斑点の被った白衣を着た男が近づいて来た。男は片頬を三日月のように歪ませ、黄ばんだ歯を光らせるのだった。
「くっ~ 久しぶりに見る大空はやっぱり綺麗だ。」
でも空気が乾燥しているから嫌でも私の囚人生活の長さが身に沁みた。半年前とはやはり違う。
はしゃいで外の生活を堪能していると、二人も遅れて研究所から出て来た。
「咲守ちゃんは嬉しそうだね。僕もこんなに太陽が照り付けていなければ嬉しいんだけどね。」
たしかに太陽は私達を祝福しているかのように輝いている。でもこれから行くとこはそんなに太陽が射していないから大丈夫でしょ。
「まだ身体が痛い・・・ごめんちょっと私のバック持ってくれないかしら?」
ぎくしゃくした足取りで大事に持っている大きなバックをこちらに突きつけながら言ってきた。たしかに、カーラさん一番きついのしたからね。
「ーというわけで持ってね、蛍。」
「えっ、僕? でも当然か、咲守ちゃんもすごいの持ってるし。」
うむ、わかればよろしい。私が持っている銃だってかなり重たいんだから。
蛍がライフルを受け取り、肩にかける。
『絶対に落とすなよ!!』
「はっ!はい!」
カーラさん、キャラ変わりすぎ・・・
そんな会話をしながら猛烈な風を吹き付けてくるヘリコプターに乗り込む。ちなみに操縦者はいない。すべて遠隔操作だそうだ。
「さーて 行きますか。狂気が逆巻く地獄の都市ラグナロクウォールへ。」
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