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終わっている異世界記、始まったデスゲーム!!  作者: もくもくと
第一章 終わっているこの世界
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1-8 帝国到着

今回から少しづつ長めにしようと思います。

 夢を見た。


 悲しい夢だった。


 幼いまだ物心つく前の記憶、ごく一般的な家庭、四人家族の長男、特に特別なところは無いむしろ普通の男の子である。

 ただ姉は違った。天才、万能、神童、ありとあらゆる才能を持ちあの兄妹でさえ敵わなかった思う。


 僕はそんな姉が大好きだった。そう大好きだったはず、


 姉は親より僕を可愛がり、僕は親よりも姉に懐いた。


 しかし、僕が小学校に上がる前に失踪した。

 多分その日から僕は何か狂った親も狂った。

 誰も直してくれない治せない、誰も構ってくれない中で、ただ一人で空を見てた。


 そして・・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


 「あぁー、うん、僕どさえもん!!!」


 なんてジョークも虚しく、いやな夢を見た気がしたが体が動かない、川岸に横たわっていると近く人の気配がした。


 盗賊とかじゃないといいな!そんなことを考えながらもう一度気を失う・・・・


 「・・・大丈夫、すぐに会えるわーーー!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 また夢を見た。


 今度も懐かしく幼いころの夢、しかし先ほどとは違い心が温まる夢、誰からも相手をされず感情が無くなりかけた。


 あの頃、僕は冒険に出た。


 姉に読んでもらったおとぎ話のように冒険に出てお姫様を助けるように姉を探しに行くつもりだったのかもしれない。

 しかし同時に気づいてもいた。

 小学生になったばかりの子供にできることなんてたかが知れてる。

  

 何もできずに終わるだろうと、一人で空を眺めながらそう思っていた。


 家を出てすぐに迷った。

 どうやら僕は当時から無鉄砲の方向音痴だったらしい。

 感情のなくなったその瞳には何の光もなくただ黙々と歩いた。

 そこまで遠くない距離だが子供にはきつかったらし、しかしそれでも目的地に着いた。

 幽霊屋敷ともいわれる大きな家の前、近場で冒険できそうなところはここしかなかった。


 庭に忍び込み窓を開けると、そこにはお姫様がいた。


 姉ではなかったが夢で僕が探し求めたものだった。

 可憐な少女だった。

 透き通った瞳、柔らかい髪、輝き咲き誇った花のようで、

 しかし同時に儚い今にも壊れそうなガラス細工のようで、

 まるで僕と同じ魂の抜けた人形のようだったがこちらを見た。

 その瞬間に僕の心は息を吹き返した。


 世界が輝いてきらきらと煌めいて見えた。


 お姫様は動かずただ黙って僕を見た。部屋には何もなくただ少女のみを飾るだけ、


 「何をしてるの?」


 僕は問う。


 「何も、ただ私は病気なんだって。だからいつもここにいる。」


 少女は何もかも諦めたような顔をした。


 「?」


 病気ならお医者さんに診てもらわないといけない?

 なんもない部屋いるほうがおかしいせめてベッドで横になるべきでは?

 そもそも不健康そうだが重い病にかかっているようには見えない?


 たぶん、僕がもっとも賢かったのはこの時だったかもしれない。


 とにかく普段何も考えずに行動してきた僕は(まあ、今もだけど)初めて深く物事を考えたと思う。

 おとぎ話を思い出しながら、悪い魔女はだれか、お姫様の呪いはどうすれば解けるか?


 その答えを探し求めた。


 「一つ聞いていい・・・・」「?」


 この時に僕は一生分の勇気や覚悟を使い果たしたのかもしれない、そう思えるほど緊張していた。


 「僕がもし君を助けたいと言ったら、君を守ると言ったら、君の側にいたいと言ったら、君はどう思う?」


 少女は少し考えるように頭を傾げ、そして・・・・


 「すごくうれしいと思う!」


 会ってから初めておそらくこの少女が物心ついてから初めて心から笑顔を見せた。

 窓の外に見える太陽より輝く笑顔、いままで止まっていた世界が自分を中心に動き出した。


 「僕はソラ、天地空≪あまちそら≫、君は?」

 「私?・・・・ウミ、水無月海≪みなづきうみ≫」

 「待っててウミ、必ずここから連れ出してあげる!」


 子供ながらに愚かしい何の根拠もないセリフ、それでも心からの誓いだった。


 「うん、約束だよ!」


 少女がもう一度笑い、すぐに家の人が着て僕は追い出された。


 家に帰ったらすぐに行動を起こした。姉の知り合いで大嫌いだった幼馴染を初めて頼った。

 自分ができることはすべてした。

 初めて自分で警察に電話を掛けた。 

 いろいろな本を調べた。

 ただひたすら駆け回った。


 その結果はもしかしたら僕は役にも立たなかったのかもしれない。

 他人の力だった、それでも望みは叶った。

 最初のきっかけは僕が起こした。それで充分だ。


 代理ミュンヒハウゼン症候群という虚偽性障害、親が子供の病気を偽る、それが海の母親の症状、彼女を苦しめて閉じ込めた呪い。

 その後はなんてことはない、海は近場の父親の方に引き取られた。

 あまりに手際がいいので絶のやつが家の力で何かしたのかも?

 しかし、そんなことはどうでもよかった。ただ彼女と一緒にいられる。再開した時に約束した。


 「ねぇ、これからもずっと一緒いようね。約束だよ!」


 そう無邪気な笑顔で約束してきた彼女に僕は困ったように、


 「うん、ずっと!離れていても同じこと考えて同じ想いいでいよう。」


 姉を失った、大切でもなくしてしまう経験した僕にできる精一杯の約束だった。


 永遠に一緒は物理的のは不可能かもしれないけど想うだけならきっとできる。これはエンゲージなのかな?

 それから僕たちは悪友となった幼馴染とともにその妹と合わせて4人でいつも遊んだ。

 彼女の父親が再婚のため引っ越すその日まで、


 今でも変わらない、異世界でも変わらない僕の想い、僕たちの約束、 


 (ねぇ海、今どこにいるのかな?そろそろ会いたいなぁ・・・・)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 はて?気絶する間際にうちの制服が見えた気がしたが、


 「とりあえず、よく寝たなぁー!」


 どれくらい気絶してたか分からないけど目を覚ますとホテルのワンルームのような部屋にいた。

 窓の外を覗くとそこには赤を中心とした建物が並び、石畳の道路、整備された街並み、そして国旗を見て、ここがアルクノア帝国の帝都セントアイルかなぁーと思った。

 まあ、人間の領土に入ったのは最初に飛ばされた時を除けば初めてだから断言はできないけどあの絶ペディアの悪友のおかげでその辺の知識はある。

 

 気絶してかなりの時間がたったのかな?

 帝都まで運ばれたのなると想像よりかなりの距離を流されたか?


 (まあ、結果オーライ、彼女な情報を手に入れるまたとないチャンスだ!)


 一人で喜んでいると、ドアをノックする音と声が聞こえた。 


 「目が覚めましたか?」「はい!!」


 とりあえず、元気よく返事をした。 


 「それは、よかった失礼します。」


 入ってきたのは侍女かな?まあ、メイドかも?服が地味だけどまあとりあえず助けてくれた感謝を伝えた。


 「私は特に何もしてないですよ。それよりも皇帝がお待ちです。すぐに準備を」


 え、いきなり!と思ったけど、なんでも三国で救世主の取り合いになっているって絶のやつが言ってたな・・・・

 なるほど、そういえば服装は高校の制服で旅に出たからなぁ(他の服も一応ある)能力で汚れないしすぐに直るのでそうしたがおかげで救世主として招かれたらしい。

 まあどのみち国のトップに会えれば情報もすぐに手に入るか!気楽に考えて、了解の返事をした。


 「では、参りましょう。」


 うーん、かなり気を遣われてるな!なんか息苦しいけど少しの辛抱か。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 初めて見る人間領の街、文明的にはどの当たりか分からないけど石造りの建物が多く思ってたよりきれいな街並みだ。

 西洋ファンタジーのゲームの中みたいだった。

 ちなみに魔族領はもっと文明レベルが高い。


 中央にあるだろう城から放射状に道路が整備され、なんとも歴史を感じさせる。

 ところどころに飾られた国旗は赤い生地に黄色の獅子が描かれており、そのためか街全体が赤色を感じさせる。

 馬車で役二十分、思っていたより近くで寝てたらしい衛兵が守る門をくぐり抜け身支度済ませる部屋に入れられた。

 流石にそのままでは無理かと思っていたら、特に汚れてないことと、制服がそのまま正装と認められたためすぐに謁見に行くことになった。


 贅を尽くした通路を、抜けて謁見の間らしき扉の前に立たされる。

 正直周りにいる侍女や兵士の視線が気になる。

 しかし扉が開かれて中に入るとそれ以上の視線に晒される。


 まさにゲームの中に入ったような典型的な王座、左右に並んで多分貴族などの身分の高いものたちが多くいる。

 そして、王座の前に自分と同じ制服の男女が3人いた。海はいないかぁ・・・・


 「ようやく、着たか!待ちくたびれたぞ!」


 (皇帝かな?とりあえず待たせてはまずいか?)


 少し早足で皇帝の前まで進む。礼儀作法なんて分からないし向こうも気にしてないのか何も言ってこない。

 年齢は50後半かな?中年オヤジを思わせる体に王冠を被ったボリュムのある金髪、歳のせいか深い皺のある顔、良くも悪くも威厳のある人物だ。

 なんとなく油断できない感じかな?腹黒い友を持つのでなんとなくわかるけど、


 「よく来てくれた。我が救世主たち!私がこの国の皇帝、フィリク・コード・エン・プロビデンス・アルクノアである。」


 (うん、勝手に自分のものみたいに言ってきた。これは注意だな!あと、長い名前がとりあえず能力で観察しよう。)


 こちらへの感情:利用する気満々が警戒もしている 相手の状態:結構焦り気味 相手の強さ:俺がTUEEE


 (うん、油断できないそしてやっぱり魔物や魔族、天族などじゃなきゃさすがに一般人には負けないか調子乗り過ぎだけど僕の能力が・・・てか皇帝って一般人かな?)


 どうでもいいことを考えていると、話が進んでいたようでほとんど聞いてなかった。やべぇ、と思っていたら、もう最後の言葉らしい。

 

 「そのためこれよりお前たちには、わが国の代表として冒険に出てもらう。頼んだぞ!」


 あれ?もうですか?またですか? 

一日一話は書きたいな・・・・

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