1-4 開戦
1日2話は無理かも・・・
高城絶は思う。100人の同郷の人間。彼らと手を組んで帰るべきか?
しかし、彼らはどう考えても自分の計画の味方にはならない。
なら、消すことに躊躇がいるのだろうか?元の世界でもこの世界でも自分の考えは変わらない。
親友のそっちゃんなら「敵も味方も関係ない、自分の道をただ進む。」と言うだろう、
妹なら「敵なんていないわ、全てまとめて味方にするだけ」と諭すだろう、なら俺は・・・・?
「うん、どうでもいい♪味方でも敵でも利用できるものは利用する。」
この世界ではレベル上がる・・・・いや、正しくは能力を使えば使うほどより使いこなして能力が強化されていく。また自分の身体能力もすぐに上がる。
なら、今まさに強くなろうとしている敵がいるならどうするか?・・・答えは事情も分かずまだ初心者のうちに狩る。
(漫画やゲームみたいに修行も冒険も行かせない・・)
高城絶は元から強力な能力を一年使い続けたことにより更に強力なものに昇華させた。
(そっちゃんならずるいからある程度互角になるまで待つかもだけど、俺はそんなつもりはさらさらない?)
ただ、万物を創るだけだった能力は、創り出したもの自分の意志だけで自由自在に操れるまでになった。そんな反則レベルの能力を容赦なく使う。
(こういうところがそっちゃんや命に非道って言われる理由なのかな?まあ、気にしないけど!)
「現実のゲームは違う。そういうわけで、レッツ鏖殺♪一方的に殲滅!!!」
万物創造により、自分の背後に無数の闇が、さらにその中から無数の兵器が造り出される。一斉に目標に向けて銃身が飛び出す。
(そういえば、能力の説明は頭に思い浮かぶけど名前とかはそっちゃんが最初に付けたんだっけ?あまりにはずかしい名前で少し苦笑してしまったけど)
分かりやすいから採用したけど、少し違うんだよね・・・・幼馴染のいい加減な解釈と厨二的な考えに少し笑みを零した。
(別に嘘はついてないけど、あの能力は造り出すだけでない。万物を創り出すその闇こそが重要だ。)
大量の兵器が宙に浮かび、遠くの敵を狙う。なんとなくで自分もスナイパーライフルで狙いをつける。
「まあ、能力誤解しようがしなかろうが、どのみち結果は同じだよね♪」
前方、遥か先にいる、不良グループに一斉放火、火と鉄の雨が降り注ぐ・・・・
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石田剛毅は目の前の光景に絶望した。・・・・なぜこんなことになったのか?
順調にそれこそ漫画の主人公のように何でもできる。人生で一番楽しんでいる時だった。
面倒な現実も社会のルールも忘れられる。
そんな夢の世界に召喚された。
将来のことなど考えずに、その日その日を楽しんでいた少年には異世界はまさに理想郷だった。
貴族にもてはやされて、好きなようにできて、特殊な能力も手に入れた。
まさに怖いもの知らず。不良仲間も取り入れ、腕試しで自分の能力を試して喜んでいるときに、まさに悪夢がやってきた。
ドガドガドガッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
自分を入れて7人が一瞬で爆炎と銃弾の嵐に飲み込まれた。
10分は続いたのか、それとももっと短いがそれだけ長く感じたのか、自分たちのいた場所の中心から50メートル以内は火に包まれていた。
助かったのは自分だけで他の連中は黒焦げになって、そのあと光のような輝きに包まれ消えていった。
自分も体中火傷と傷だらけだが、能力のおかげでまだまだ余裕がある。経験したことがない痛みに耐えながらも、
「くそ、誰だ!なめたマネしやがってっっっ!!!」
自分の能力を過信している石田は恐怖はない。
死んだ生徒も所詮はただ後輩や自分の下で威張っていただけの存在、最初から仲間とは思ってなかった。
自分無事ならそれでいい、あらゆる攻撃に耐えられる自分が負けるはずがない、そう思っていた。
そう・・・・あれを見るまで・・・・。
遠くにいた兵士どもが慌てて逃げていくのが見えた、
(くそが俺たちを見捨てやがった。)
心で悪態をついていると、おそらく攻撃してきた方角から何がが来た・・・・
人かと思えたが、
(違う!!!!)
ケンカで培った勘が自分より背の低い人影を見た瞬間、あれは化け物だと告げた。
身体が震える、呼吸がまともにできない、爆炎のせいで熱いはずなのに肌寒く感じる・・・・
人の生存本能が、目の前の死の危険に刺激されて、頭の中で大きく鳴り響いている。
「あああうああう?・・・・」
もはや、まともな思考さえもできない、逃げることもまして立ち向かうこともできない。
もう30メートルまで迫ったその存在を見て、元の世界で1年前に行方不明なった生徒を思い出した。
表では優等生だが裏でその名を聞けば誰もが怯える、自分の学園に来たらこの手で倒して名を上げようなどと考えていた。
昔の自分の愚かしさを自覚して、なお石田剛毅は震えて動けなかった。
「ああ、恨みとかないし特に理由もないけど、俺の勝手で殺ちゃうから!覚悟してください。先輩・・・でいいのかな?」
自分のことを知っているのか、目の前の死神は軽く首をかしげる。このままではまずい、しかし何もできない。
一瞬で地獄とかした樹海で、炎に囲まれた戦場、いや、処刑場でその中心に立つ少年の頬が邪悪に歪む。
ーー高揚と嘲笑、恐怖と絶望ーー
やっとの思いで反撃に出る。自分の最大威力の衝撃破を石田は放つ、
大樹をも薙ぎ払ったその衝撃波が目の前の華奢な少年を蹂躙する。炎と土煙が舞う。
「やったか?・・・・」
しかし、石田もそんなことは信じてはいなかった。視界が開けると目の前には闇が広がっていた。
万物創造の能力により表れたそれは、万物の元になる全く未知の物質(空がダークマターと命名)、無限に虚空より表れて自然と消える。
鉄にも水にもなる千変万化の闇、
盾にも矛にもなる万能の闇、
それが石田を包む。
半径20メートルの変化させないダークマターのドーム、何が起きるのかと怯える少年は腰を抜かして座り込む。
「頼む、助けてぇぇぇ」
もはや、プライドも捨てて生き延びようとする。
しかし非情にもそれは許されない、闇から無数の銃や兵器が出てきた。そしてドームの中は爆音と豪炎が満たされる。
悲鳴を上げるが爆炎でかき消され、容赦ない攻撃が身体を傷つける。
銃弾が肉を削り、本体なら跡形も残らないその攻撃に耐えられてしまう能力は幸か不幸か少年は知る由もない。
「ああああああぁああぁあ!!!」
苦しむ、耐えられてしまう。
もし生き延びることができるかも?
苦しみの中現実逃避するかのようにそう思い始めた矢先に
(呼吸ができねぇー!?)
それは先の精神的なものではなく、ドームに閉じ込められたことによる酸素の消失よるもの。
炎も消えていき銃声、爆音も消えた。
しかし、同時にに生きるために必要な元素も消えていく。
「あぁ・・・」
石田は苦しみながらも闇に向かって能力を放つも、何の効果もないヒビ一つはいらない暗闇を前に石田は絶望しながら息絶えた・・・・
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「お疲れ様です。主よ・・・」
ベルの労いの言葉を聞きながら、俺は能力を解除した。闇が消えて目の前には光に包まれて消えていくボロボロ人形がある。
それに何の感情も抱かずに、高城絶は楽しそうに言う。
「まずは7人・・・さあ、ゲームスタートだ!」
闇に包まれ転移する少年と魔族、あたり一面焼け野原になった樹海の一角に静寂が訪れた。
とりあえず頑張る。