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I am a pen.

作者: いるみ

こんにちは、私です。

私というのは私の本当の名前ではありません。そうです、偽名です。普段は偽名など使わない私ですが、今日はちょっと、特別です。


突然ですが、私は常にペンを持ち歩いています。ボールペンです。色は黒、インクの色ではなくペンの色です。インクの色はそう、白です。

この世に白いインクのボールペンなど滅多に見ることはありません。元の色は赤でした。

つまり、インクが切れたのです。

インクが切れたペンなど必要無いではないか、と知人の皆さんは言います。

しかしそんな事は無いのです。このペンは、私の大事な、大事な友達ですから。


このペンは、実は私が自分で買ったものではありません。もらったモノです。もらいモノです。私がまだ幼い子どもだった頃にもらいました。友達からです。

あの頃の私は実に無邪気でした。友達からモノをもらったことが、本当に嬉しくて。毎日のように使っていました。赤色のペンは使い道がたくさんあります。インクはみるみるうちに減っていきました。


あの子がいなくなってからも、私はペンを使い続けました。インクがなくなった後も常に持ち歩きました。毎日毎日、持ち歩きました。

特別な理由は無いのです。ただ、こうして持っていれば、そう、私には確かに友達がいた。ボールペンをくれた友達がいた。そのことを思い出せるのです。


あの子は私の友達でした。あの頃は、いいえ、きっと今も友達です。だってボールペンをくれたから。私にボールペンをくれたのはあの子。もらったのは私。友達。


ボールペンは喋りません。口が無いですから。それでも、私には聞こえます。このペンの声が。忘れもしない、あの子の声で。


こんにちは。私はペンです。

ペンと言っても、ただのペンではありません。ボールペンです。ただの、ボールペンです。

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