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「さて、何からやる?」
施設に着くと、先輩が聞いてきた。
「軽く動かせるのからがいいです」
わたしは、そう答えていた。
「そうだなぁ~。バッティングとかは?」
先輩が顎に手を当てて、考え込んだかと思ったら、そう言った。
「わたし、やったこと無いです」
「俺が、教えてやるよ」
そう言って、バッティングブースに行く。
先輩が、先にバッターボックスに入っていく。
「なぎさちゃんは、そこで見てて」
「はい」
先輩が、バットを構えた。
その姿が、カッコ良くて見とれてしまう。
球が飛んできて、タイミングよくバットを振る先輩。
カッキーン。
いい音でバットにボールが当たる。
打球は伸びて、ホームラーンって書いてある的に当たる。
「すっごーーい!!」
わたしは、声をあげた。
「そんな事無いよ」
先輩が謙遜する。
その後も続けて打ち上げていく。
やっぱり、すごい。
「なぎさちゃんもやる?」
「やってみたーい!」
直ぐさま先輩の所に行く。
「バット、持ってみて」
先輩に言われて、持ってみた。
意外に重いんだ。
「構えられる?」
えっと……。
わたしは、先輩の構えを思い出す。
見よう見まねで構えた。
「こう…かな?」
「そうそう。そのまま振ってみて」
わたしは言われた通りに振ってみた。
ブーン。
振りきったとたん、バランスが崩れて、倒れそうになる。
「おっと…」
そこを先輩が支えてくれた。
「あっ…、すみません」
慌てて謝った。
「大丈夫だった?」
「はい」
「今の感じでいいから、やってみる?」
「はい!」
「そこの白線の枠に入って」
先輩に言われて、白枠の中に入って構えた。
ボールが飛んできてバットを振る。
これが、なかなか当たらない。
合わせて、振ってるんだけどなぁ…。
難しいなぁ。
六球目で何とかボールがバットにかすった。
あっ…、
今の手応えだ。
わたしは、感覚を掴むと直ぐにバットに当てることができた。
最後の一球が、なんとホームランの的に当たった。
エッ……。
「やったな、なぎさちゃん」
先輩が、笑顔で言う。
「はい」
「次は、何がやりたい?」
「スカッシュをやってみたいです」
自分から言ってた。
「いいよ」
先輩が、苦笑しながら答えてくれた。
その後も色々なスポーツを楽しんだ。




