10
あれから一年。
わたしは、大学受験の為に帰国することになった。
お兄ちゃんと一緒に…。
お兄ちゃんは、わたしの為に一生懸命に両親を説得してくれた。
親としては、娘のわたしを手元に置いておきたかったんだと思う。けど、わたしは彼に会いたいって思いが強くてお兄ちゃんに頼ってしまった。
一年間、忘れることのなかった、彼を…。
で、出した条件が、お兄ちゃんと一緒に生活をするってことで、親も折れてくれた。
お兄ちゃんが居なかったら、戻ることできなかったかもしれないと思うと、感謝しきれない(お兄ちゃんも彼女に会いたいって言ってたから、同じ思いからだったかも…)。
学校ももとの学校に編入できたし……。
後は、自分が戻るだけとなった。
さぁ、もうすぐ着く。
わたしは、ウキウキしてた。
着陸の瞬間が、待ちどうしかった。
横に座っているお兄ちゃんもそんな感じだ。
「いよいよだな」
「うん」
わたしは、自然と顔が綻んだ。
無事に着陸して、タラップを降りる。
荷物を手にしてゲートを潜る。
わたしは、辺りを見渡した。
…が、まだ来てないみたいだ。
ちゃんと到着時間伝えたのに……。
そう、肩を落としたときだった。
「何、がっかりしてるんだよ」
突然耳元に届いた声。
愛しい人の声。
後ろから抱き締めらた。
振り返ると少し大人びた彼が、いた。
「ただいま、克俊さん」
わたしは、笑顔で彼に告げた。
「お帰り、なぎさ」
克俊さんも笑顔を返してくれる。
会ったら、一杯話そうって思ってたんだけど、何も言わなくても心が温かくなって満たされていく。
そんな不思議な感覚。
好きで居てもいいですか?
ベターな終わりかたですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。m(._.)m




