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黒の剣士と崩剣のアクア  作者: 雪ウサギ
第1章 黒の剣士
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ユフィーリア

 夕日が沈み村は朝とは別な意味で活気にが溢れている。僕達は商人ギルドのギブリと話す為にギルドに行ったのだがギブリは先約があるとの事なのでまた夜に落ち会う事にしていた。


 ここはつい先日フェルトに連れられて来た酒場である。ギブリとはここで会う事になっている。僕達はギブリが来る前に軽く食事を済ませていた。


 食事を終え、少し時間が立つとギブリは現れた。


「遅くなりました王女様。」


 そう言ってギブリは深々とお辞儀をする。


「王女様は止めて下さい。でないと死刑ですよ。」


 フェルトは可愛く左目を閉じる様にしてウインクする。その表情に不覚にも僕はドキッとしてしまう。


「ブレインはフェルトみたいな子が好みなのね。」


 アクアはそう言って僕の事を睨んむ。それを見ていたエレナはクスクスと笑っていた。


「本当にお二人は仲が宜しいですね。」



 



 それからフェルトはギブリに此までの事を話した。


「成る程……フェルト様がギルドの力を借りたいのは分かりました。しかし、現状では全面的な協力は出来ません。そこの所はご理解下さい。」


「やはりギルドの方にもこの事は上がっていたのですね。」


 フェルトがそう言うとギブリは苦笑いをしていた。


「実は大分前からこの事はギルドにも上がっていました。しかしギルドも未だに収集がつかないのです。ギルドの方に圧力がかかっているのは確実。相手側の後ろには相当な人物が後ろ楯しいるようなのです。」


「相当な人物の後ろ楯ですか。ギルドの方では既に検討がついているので?」


 フェルトがそう言うとギブリは頷く。


「確かに検討はついています。ですがあくまでも検討が付いているだけで証拠などはまだ掴めてないのです。」


「……オズワールですね。」


 フェルトがそう言うとギブリは驚く。


「フェルト様はそこまでご存知でしたか。」


 オズワール……確かローザリアで大きな商会を作った商人と言うのが記憶には新しい。彼の噂は良く耳にする事が多いので僕にも誰なのかはっきりとわかった。


 その後二人は色々と情報を交換して今日の話し合いは終わった。


 僕達が宿に戻るとフェルトが今後の事を話したいと再び全員をフェルトの部屋に呼んだ。


「これからどうします?」


 エレナは皆のコーヒーを入れながら言った。


 フェルトはエレナからもらったコーヒーをすすりながら口にする。


「私、猫舌なのよね。」


 そう言ってフェルトは下を出すとコホンと一度間をおく。


「悔しいのだけれど私達には荷が重い感じがするわね。この事はしばらく保留にします。私達は明日ここの町の商談を纏めましょう。」


「では、当初の通りに港町に向かうのね?」


 アクアがフェルトに尋ねる。するとフェルトは頷いた。


 




 次の日の朝、僕は何時ものようにアクアに起こされる。


「ブレイン朝よ。起きなさい。」


「おはよう、アクア。」


 まだ寝ぼけている僕にアクアは何時ものように自分の顔を近づけてくる。流石の僕もこれで一気にめがさめる。


「……アクア顔が近いんだけど……」


「そう?ブレインはこうしないとなかなか目が冴えないのだから仕方がないわ。」


 アクアはそう言ってニッコリと笑いながら僕の頭を撫でる。


「皆朝食を食べに行っているわ。私達も行きましょう。」


 僕とアクアは朝食を済ませようと食堂に向かう。食堂ではすでに食事をすませ話し合いをしているフェルトとエレナがいた。


「おはようございます。二人共早いね。」


 僕は朝の挨拶を二人に言うと「ブレインが寝坊助なだけでしょう。」と言って僕の横をスタスタと歩いていく。それを見てフェルトとエレナは笑っていた。


「そうですね。ブレインさんが遅いだけですよ。」


 僕とアクアが朝食を済ませると待っていたかのようにフェルトが全員を集める。


「今日の予定だけど私とエレナは商談をしに商会に行ってきます。ブレインとアクアはどうしますか?」





 僕は宿で一人空を眺めていた。


 アクアは商談に興味があったようで二人についていったのだ。


「流石に隙だな。」


 僕は宿の外に出て露店を見て回る。特に欲しいものがあるという訳でもないが、暇を潰すには丁度良かった。


「そこのお兄さん、この薬はいいですよ。」


「坊主、坊主にはまだそう言う剣は無理だ。やめておけ。」


「キミ。この本は初心者が読むような魔導書ではないのよ。」


 等など。やはりこの姿だと子供に見られる事が多かった。それは仕方がなかった。肉体年齢は精々20歳に見られればまだましの方だ。500年以上生きているとしても肉体年齢は止まっている。別に気にしている訳ではなかった。


 僕はその後鍛冶屋に向かう。


「すみません。」


 鍛冶屋の中に入るとそこには体の引き締まった女性のブラックスミスが剣を作っている最中だった。

カンカンとハンマーで鋼を打つ音が鳴り響く。


「少し待っててくれ。今大事な所なんだ。」


 そう言ってブラックスミスは再びハンマーで鋼を打つ。そしてどのくらいたったのだろうか……僕は鍛冶屋にある武器を見て回る。


「またせたね。私はリース、、ここで鍛冶屋をやっている。」


 そう言うとリースは手を前にだす。僕も手を前にだしてお互いに握手する。


「ブレインです。剣士をしています。」


「今日はどんな用で来たんだい?」


 僕はリースに刀を差し出す。


「今日はこれを研いでもらいたくて来ました。」


「成る程ね……刀とはまた珍しい武器を使っているね。拝見させてもらうよ。」


 リースはそう言うと刀を鞘から抜いて刃を一通り見ていく。


「ブレインだったね。あんた何者だい?」


 リースの一言に僕は驚く。


「私はブラックスミスだ。武器の事なら何でも知っているつもりだ。この刀がずいぶん使われているのは直ぐにわかった。しかし、この刀の刃こぼれ。これは普通の使い手が出来る刃こぼれとは全く違う。この人為的に作られたようなこの刃こぼれには流石の私も見たことがないよ。恐らくこの武器の持ち主は常に一点の刃で全てを斬っている……そんな感じがするね。ソードマスタークラスが出来る芸当だ。」


 流石はブラックスミスと名乗るだけあってその観察眼は素晴らしい。確かに僕はそう言う戦い方をしていた。


「まぁ、あれこれ繊細するのもマナー違反か。ではこの刀を研ぐとしますか。」


 鍛冶屋に刀をハンマーで叩く音が鳴り響く。


 しばらくするとリースが刀を叩くのを止めて刀の刃を隅々までみる。


「ブレイン。この刀に精錬はしないのかい?」


「精錬とはなんですか?」


 リースが言うには精錬とは精錬用のある特殊な石を使うことで武器事態の能力を上昇させるものらしい。


「武器の使い方は一流なのに知識の方は無いとは。それじゃ武器が可哀想だ。もう少し知識を増やした方が良いな。」


 それから暫くはリースに武器の知識を少し学ぶ。そして鍛冶屋からでる頃には夕刻になっていた。


「……そろそろ帰るか。」


 僕は宿屋に向かって歩き出す。しばらく歩くと何処からか悲鳴らしき声が聞こえてくる。


「気のせいか……」


 耳を澄まして集中する。周りの雑音を無くす。すると確かに悲鳴らしき声が聞こえてきた。悲鳴の方角・距離を感覚で把握し僕は走り出す。


 悲鳴があった場所に行くとそこには1人の女性を3人で取り押さえている所だった。それに女性の方には見覚えがあった。首都ローザリアで見かけた聖女だ。


 (なぜあの子がここに?仕方がないか。)


 僕は不意討ちをかけるかの様にして1人に横腹に体重の掛かった肘内の一撃で1人を気絶させる。残りの2人が気付いて此方に向かってくる。1人が前で2人がその後についた。


 (!時間差か)


 前の男に刀の柄で鳩尾に一撃。2人目を気絶させる。

「危ない!」


 2人が倒れた瞬間を見計らって3人が短剣で心臓を狙い突いてきたのだ。僕は左回転で相手の攻撃をかわし、回転中に刀を抜く。丁度1回転して相手の首筋に刃をおく。


「まだやるの?」


 そう言うと男は後ろに飛んで1人逃げていった。


「大丈夫だった?あれ?」


 聖女はそこには居なく、周りを見渡すと聖女は僕が倒した2人を奇跡で治療していた。


「………終わりました。貴方は怪我などしていますか?」


 そう言うと聖女は僕の方に歩いてくる。


「貴方はお強いのですね。」


 そう言うと右肩に奇跡をかけてくれる。自分でも気が付かなかったが肩に傷が出来ていた。先ほどの戦いでかすったのだろう。


「ありがとございます聖女様。」


 そう僕が言うと聖女は怒ったのか少し黙ってしまう。


「私の名前はユフィーリアです。聖女ではありません。」


 ユフィーリアが怒った理由がなんとなくだが分かったような気がした。そう、ユフィーリアは聖女と呼ばれるのを嫌っているのだろう。


「わかりました。ユフィーリア様。」


「様も要らない。ユフィでいい。」


 すかさずユフィーリアはずいと僕の目の前に出る。

すると僕は後ろに下がる。一定の距離をとった。


「じっ、じゃあ僕は行くね。」


そう言って僕はその場を逃げるように立ち去ろうとした。しかし、ユフィーリアが僕の服を掴んでいた。


「貴方に御願いがあります。」

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