女神像
あの後、フェルトはあの女神像を見ていた。僕達は他の露天に何かにかないものかと見て歩いていた。予めフェルトと別れる時に集合する場所と時間を決めていたが、フェルトが現れないため僕達はフェルトを探す事になった。
フェルトは最初に女神像が置いてあった露天にいた。
「あの女神像。………あれは偽物ね。」
その日の夜。フェルトが自分の部屋に僕達を集めると話始めた。
「偽物?」
フェルトはそう言うと二つの女神像を持ってくる。
「右が偽物で左が本物よ。」
僕とアクアは首を傾げる。正直僕には本物と偽物の区別はつかなかった。
「本来女神像は純銀製なのよ。でもこの偽物は違う。恐らく、何か他の不純物が含まれてるわ。」
そう言って フェルトは自分の道具箱から秤を持ってくると二つの女神像の重さを量る。
「良くできているわ。重さも同じ。正直、二つを見比べないと分からないくらいの物ね。」
フェルトはそう言っているが残りの三人には全く区別がつかない。
「フェルトさん。僕達にわかるように説明してほしいんだけど………」
そう言ってフェルトは僕達に女神像の事を教えたくれた。
「本来、この女神像は教会が製造している物なの。だけどあの偽物は違う。恐らく何処か別の所で製造されている物ね。しかし、良く教会を敵にするようなことが出来るわね。私なら間違いなくやらないわ。」
現在の教会はそれほどまでに強い影響力を持っていた。
◇◆◇◆◇◆
1000年ほど前。一人の人間が大陸全土を崩壊させると言う出来事があった。後にその人間は人々に魔の王と呼ばれるようになる。魔の王、つまり魔王と呼ばれる者は次々と町や村を滅ぼしていった。
人間と魔王との争いはその後600年も続いた。魔王との戦いは想像を絶するものだったと言われている。
人と魔王との戦いが終わると教会はその力で町や村を復旧させていった。町や村の復旧が早かったのも教会の援助の力が大きかったと言われている。その為教会の力は次第に強まっていき、今では王国の次に強い権力を持っていた。
◇◆◇◆◇
「この事を教会に報告するのですか?」
エレナはフェルトに言うと「それでは根本的な解決にはならないでしょうね。」
「つまり、この女神像が何処で作られているか探ると?」
今度はアクアがフェルトに言った。
「それでも足らないでしょうね。この裏に何がいるのか。それも知りたい所ね。恐らくこれ程の事をしているとなると後ろにはかなりの影響力持った人物がいるのは間違いないわね。」
確かに、製造先を叩いても次の製造先を作られるとしたら只の鼬ごっこになってしまう。それを無くすにはやはり黒幕を見つけて叩くのが一番だろう。
「ここは商人ギルドの力を借りましょう。」
次の日、僕達はフェルトに連れられて商人ギルドに向かった。
ギルドの中に入るとカウンターで一人の男性がなにか忙しそうに書類の整理をしていた?
「お久しぶりですね。ギブリさん。」
フェルトがそう言うとカウンター前の男性はフェルトに気が付いたのか此方に向かって来た。
「 これはフェルト王女様じゃないですか。今日はどんなご用でしょうか?」
僕とアクアはお互いの顔を見たあとにフェルトを見る。
「今、カウンターの人がフェルトの事を王女様って言った気がしたのだけど………」
アクアは横にいたエレナに聞いていた。
「まぁ、驚くのも無理ないですよね。フェルトはローザリア王国の第5王女なのですよ。」
僕とアクアは驚くが、ギルドに居た人達は知っているのか誰も驚いてはいなかった。
「そんな驚く事ではないですわよ。王女と言っても王位継承第5位だし、私自身にはすでに王位継承権は無いですからね。実質は元王女ですから。」
そう言って僕達の方を向いてニッコリと笑う。
出会ってから今までの記憶を振り返ってもどう考えても王女様とはかけ離れている。特にお酒の事に関しては言うまでもないだろう。事実を聞かなければ一生気付かなかっただろう。
「話を戻します。ギブリさん。私は商人ギルドの力を借りたくてここに来ました。」
まだ誤字が目立ちますね。