本当は話したい気持ちを君にむけて。
休日だ。
カーテンの隙間からこぼれている光が見える。
…なんて自分はバカなんだろう。
そう思う時は多々あったがここまでバカをやらかした事は今までなかっただろう。
カナに好きな人ができた。
それは俺にとって重大な出来事だ。
きっとカナはもう俺との関わりはなくなってくるのだろう。
そう思うとなんだか悲しくて、また寝返りをうった。
「ユウトー、ご飯だってーはやく起きなよ。」
「まだ寝てるって言って。」
「ダメだよ起きなきゃー。」
…ん?
「なんでお前いんの!?」
ベットから飛び上がり起きる。
カナはニコリと笑うとベットの上に乗ってきた。
近い。
私服だからかその…首元があいている。
「暇だからだよ。」
「暇なら彼氏と遊べよな!」
つい言い返してしまう。
ずっとここにいてほしいのに。
カナは少し顔を青く染めた。
「彼氏じゃないからね…」
言い方がリアルだ。
「じゃ、友達と遊んでこいよ!」
「なんでそんな冷たいんだよぉ、ユウトと遊びたいからいいでしょ?」
カナはニコリと笑うと俺に抱きついてきた。
俺は今日死ぬかもしれない。
「わかった!とりあえず飯食わせろ!あとお前勝手に部屋に入ってくるな!」
「うん、わかった。」
という言葉をもう七回は聞いてる気がした。
カナとは何年も付き合いがある。
それが友達としての間でおさまっているのは確かだ。
多分、一生…
「死にたい。」
全部終わったら告白…。
そんな事言っていた日もあった。
今こうして無事に帰ってきている。
一度死んだが。
今思えば何故俺は殺された奴に好きな人を奪われているんだ。
「ユウト?」
「…カナ、カナは」
「カナは俺の事、どう思ってるの。」
真顔でこちらに顔をむけた。
「大好きだよ。」
「…」
友達として、と言うのがわかっている。
だが照れる。
照れるわっ!
「へ、へ〜ぇ。」
何も言えない。
「今日ね、DVD借りてきたの、面白そうな奴だから映画!みよう?」
「あ、うん…。」
すぐに違う話題に変わる。
もう諦めるしかないのだろうか。
そう思いながらもソファに座った。
「雨、降ってきたね。」
外に目をやるといつの間にかどしゃ降りになっていた。
「帰る時、気をつけろよ。」
「濡れるの嫌だなー。」
そう言いながらカナは俺の隣に座ってきた。
近い。
「すぐそこだろ。」
「ユウトは冷たいなぁ。」
したくてしてるわけじゃない。
「カナは俺と仲良くしすぎなんだよ。」
映画に集中できない。
「私、ユウトに告白された事は忘れてないよ。」
「…!!!!!!」
思わずぴたりとくっついていた身体を離す。
「でもね、正直そうゆうふうに考えれなかった。」
これは夢だろうか。
「今だってそう。私ユウトの気持ちに何もこたえられてない。」
カナが悲しそうに微笑んだ。
テレビから笑い声が聞こえる。
華やかなパーティーが行われているようだ。
俺は唾を飲んだあと、そっと口を開いた。
「こたえ、ないで。」
これが、俺の本当の気持ちなんじゃないだろうか。
「ずっとこのままでいて欲しい、カナが俺にはっきり気持ちを伝えて何処かに言ってしまうのが怖いんだ。」
今日は思っている事が口からこぼれる。
でも、口からこぼれた言葉は重たくて、口からこぼれた後重力に抗わず地面に急降下しているみたいだ。
「ユウトは好きな人ができたら、彼女ができたら私から離れると思う。」
俺に好きな人が?
「俺が好きなのは」
「いてぇ!」
頭を思い切りうった。
何が起こったのかわからない。
起き上がり周りを見渡して時計を見てようやく実感した。
夢だ。
「夢の中でも思いは伝えられないのかよ…。」
頬をつねる。
痛い。大丈夫、これは現実だ。
ドアが突如あいたかと思うとカナが顔をだした。
「ユウト!おはよ!朝ごはんできたって!」
「うるせーな…今いくよ。」
今度こそ、なんて口だけで何も言えない気はした。