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実録:俺の家に「女」がいるらしい。

作者: Rasky
掲載日:2026/09/13


ネタではありません。


 アラームの音で目が覚めた。


 時刻は、22時25分。


「……はぁ。眠い……仕事行きたくねぇ……」


 工場で三交替勤務をしている俺は、夜勤に出るため、眠くて重い身体をどうにか起こした。


 手探りでスマホを掴み、その明かりを頼りに部屋の照明をつける。


 寝起きの身体を引きずるようにしてキッチンへ向かい、寝る前に作っておいた飯を電子レンジに入れた。


 同時並行で会社に持っていく弁当も作る。

 といっても、米の上におかずを乗せた、簡単な弁当だが。


 チンッ。


 温め終わった音が鳴る。


 まだ眠気の残る中、連載している小説や短編小説のアクセス数を確認しながら温め終えたご飯を食べた。


(お? やった。 少しずつ伸びて来てるやん。嬉しいなぁ…はい、今日はもう仕事頑張れるの確定っす。コメント来てるし、ありがとうございます。大好きです)


 そんなことを思いながら、食事を手短に済ませ、出勤する時のいつもの服に着替えて、タバコを一本吸い終える。


 スマホの時刻は22時59分。


 そろそろ家を出なければならない。


 嬉しい気持ちを残しつつ、ワンルームのドアを閉めて居室から玄関へ向かおうとした、そのときだった。


 ふと、風呂場が目に入った。


 俺は風呂から上がったあと、換気のために浴室のドアを開けっぱなしにしている。


 いつもの風呂場。


 特に変わったところなんてない。


 ──はずだった。


「…………」


 足が止まった。


 風呂場の前が、濡れていたのだ。


 浴室の床だけじゃない。

 開けっぱなしにしていた扉のすぐ外側、そこにある木材部分まで、びちょびちょに濡れている。


「……え?」


 意味が分からなかった。


 湿気で少し湿っている、なんて程度じゃない。

 明らかに水がかかったような濡れ方だった。


 寝る前、俺はトイレに行っている。


 そのとき、ここは濡れていなかった。


 それは覚えている。


 当然、そのあと風呂に入ったわけでもない。


 俺が最後に風呂を使ったのは、寝るより何時間も前だ。

 なのに。


 俺が寝ているあいだに、風呂場の前だけが濡れていた。


「…………」


 時計を見る。スマホには“23:01”と表示されていた。


 もう出ないと仕事に間に合わない。


 気にはなった。

 ものすごく気にはなったが、その場で原因を調べている時間はなかった。


 俺は濡れた床を残したまま玄関を出て、車に乗り込んだ。


 会社へ向かいながら、ずっと考えていた。


 シャワーを止め忘れた?


 ──違う。

 俺は確実に風呂から上がる前に水を止めている。

 そもそも、シャワーを出したまま浴室のドアを開けるはずがない。

 うちの風呂は、お湯と水をそれぞれ蛇口で捻って調整する古いタイプだ。

 何かの拍子にボタンが押されて、勝手にシャワーが出た、という構造でもない。


 じゃあ、猫か?

 飼っている猫が浴室に入り、何かの拍子に蛇口を動かした?


 ──違う。

 寝る前、居室と風呂場・玄関側を隔てるドアを俺は閉めていた。

 それに、そもそもうちの猫は風呂場が嫌いで、普段から近づきたがらない。


 じゃあ、風呂から上がったとき、俺自身が濡らした?


 ──違う。

 風呂に入ったのは寝る約六時間前。

 それから寝るまでのあいだ、俺は何度もその場所を通っている。

 そして何より、寝る直前にトイレへ行ったときには濡れていなかった。


 だったら。


 あの水は、どこから来た?


 その瞬間。


 ふと、以前言われた言葉を思い出した。


『ねぇ? 今、家に誰かおると?(いるの?)』


 彼女と電話していたときのことだ。


『え、誰もおらん(居ない)けど』


 本当に誰もいなかった。


 俺以外には。


 テレビをつけているわけでもなければ、アニメやYouTubeを見ているわけでもないし、部屋外から人の声が聞こえた訳でもない。


 つまり、誰かの声が聞こえるような状況でもなかった。


 それなのに彼女は言った。


『女の声聞こえたけど笑』


『いや、やめてくれん? そういうのマジで怖いから』


 三年付き合っていた彼女との電話で、こんなことが数回あった。


 一度だけなら、聞き間違いだと思っただろう。

 でも、似たようなことを言ったのは彼女だけじゃなかった。


『おい、〇〇(本名)。お前いま誰かとおるん?』


 親友との会話だ。


『……? おらんけど』


『いや、女の声聞こえたぞ笑 お前、女連れ込んどるやろ?』


『は? マジで誰もおらんぞ。てか、そういうのいいから笑』


『え? 聞こえたけど』


『もういいって笑 そういうのほんと無理やから』


 俺には、何も聞こえていなかった。


 ただ奇妙なのは、二人とも「何かの音がした」と言ったわけではないことだ。


 二人とも、それを「女の声」だと言った。


 正直、俺はホラーが嫌いなわけじゃない。


『ほんとにあった怖い〇』も見るし、心霊系の動画だって普通に見る。


 でも、それは画面の向こう側だから見られるだけだ。


 自分で心霊スポットへ行こうとは思わない。


 心霊体験なんて、絶対にしたくない。


 実体験となると、怖いものは怖い。


 だから、ずっと考えないようにしていた。


 けれど、この部屋では以前、他にも妙なことがあった。


 一時期、夜中のほとんど同じ時間帯に何度も目が覚めた。

 時計を見ると、決まって3時31分から3時40分くらい。


 別の日には、夜中にキッチンから水滴が落ちる音が聞こえた。


 ポタッ。


「……」


 ポタッ。


「…………」


 ポタッ。


「はぁ……めんどくさい…」


(水ちゃんと止めてなかったんやろうな……はぁ……)


 そう思って確認しに行った。


 でも、蛇口から水滴は垂れていない。


 それどころか、シンク自体が濡れていなかった。

 でも聞き間違えではない。


 何度も聞こえたから、わざわざゲームのコントローラーを置いてまで見に行ったのだ。


 自信を持って言える。絶対に、聞き間違いではない。


 他には、誰も住んでいないはずの隣の部屋から、夜中に話し声や物音が聞こえることもあった。


(引っ越してきたんかな……)


 次の日、仕事帰りに何となく隣の部屋を見たが、窓にはカーテンがかかっておらず、前日以降、話し声などが聞こえることもなかった。


 高校を卒業して、この部屋で一人暮らしを始めて、約四年。


 不可解なことは、一度だけじゃない。

 そのたびに頭をよぎった。


 ──この家には、何かいるんじゃないか。


 でも怖いから、その考えを毎回打ち消した。


 古いアパートだから。


 配管の音だろう。


 隣の物音だって、建物のどこかから響いただけ。


 夜中に同じ時間に起きるのも、たまたま。


 電話の声だって、向こうの聞き間違い。


 そう思うことにしていた。

 というより、そう思いたかった。


 そして昨日。


 寝る前には確実に濡れていなかった風呂場の前が、俺が眠っているあいだに、びちょびちょに濡れていた。


 もう、何が原因なのか分からない。


 俺自身は、幽霊を見ていない。

 この目で何かを見たわけでもない。


 ただ、“居る”ような気がしてならないのだ。


 だからこそ、誰かに教えてほしい。


 水道や建物に詳しい人なら、あの水がどうやって発生したのか。


 電話や音響に詳しい人なら、なぜ俺には聞こえない「女の声」が、別々の人間に聞こえたのか。


 睡眠に詳しい人なら、なぜ同じ時間帯に何度も目が覚めたのか。


 配管や建物に詳しい人なら、水滴の音や隣室の物音について。


 全部、別々の原因でもいい。


 偶然が重なっただけでもいい。


 むしろ、そうであってほしい。


 これは創作ではない。


 少なくとも、ここに書いた出来事について、俺は嘘をついていない。


 そして俺は、今もこの部屋で一人暮らしをしている。


 これを書いている今も、普通に怖い。


 だからお願いします。


 誰か、この現象を科学的に説明してください。

 誰か、俺が安心して眠れる理由をください。


「霊なんかいない」


 そう言って、全部説明してほしい。




『あ、そういえばなんですけど…なんか、こういうこと聞いていいのか分かんないんですけど……』


『はいはい?』


『この部屋…っていうか、このアパートって自殺者っていうか、なんか霊的なのが出るようなやつって起きたりとかしてないですよね?』


『そういうのはないですね……なんかありました?』


『いや笑 なんか…まぁ、ちょっと笑 気のせいだとは思うんですけど…』


『うーん……この物件で何かあったとかは無いですけど…』


『そうですよね笑 他に住んでる方から、なんかそういう系のやつ聞いたりとかもないです?』


『まぁ…そうですね。特には』


『……あ〜、まぁそうですよね笑』


『あはは。そうですね、まぁただ…』


『……?』


『その、自分が高校生のときなんですけど。ほら、このアパートの奥って、海があって、手前が土手になってるじゃないですか』


『そうですね』


『自分、そこ通って通学してたんですよ』


『へぇ…』


『部活帰りで遅くなった時に、なんか海の方で黒い影みたいなの見ちゃって笑 まぁ暗かったんで、気のせいとは思ってたんですけど』


『え、はい』


『うちの姉が昔から霊感あって、家帰った時に『あんた何連れ帰ってきてると!? へんな所行った!?』って言われて笑』


『……』


『まぁ、そういうことはありましたね』


『……そうなんですね』




 


 これを書きなぐってるついさっき、キッチンの方からものが落ちる音がしたのも、たまたまですよね?


 猫はずっと俺の目の前にいるのに、パキッパキって床が軋んでる音がするのは気のせいですよね?


 うちの猫が、何かを目掛けて飛びかかってたり、いきなり逃げるようにベッドの下に行くのは偶然ですよね?



 誰か教えて。


 誰か助けて。







全て “たまたま” で “気のせい” で “偶然” ですよね?





この内容は、全てノンフィクションです。

制作の都合上での演出や過剰表現も一切行っておりません。


本当に怖がりながらこれ書いてます。

“霊にはマツケンサ〇バが効く”とどこかで聞いた覚えがあるので、マツ〇ンサンバllを聴きながらこれ書いてます。


有識者の方、誰か「幽霊じゃない」と説明してくれませんか?


X(Twitter)に2~4コマ漫画とか、私の投稿している小説の情報あげてます

↓


https://x.com/rasky358126?s=11&t=NpC1loJITnK6Y3M7cmMVKA

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― 新着の感想 ―
気のせいですよきっと。 ヤバくなったらマツケンサンバ流しとけば大丈夫です。
怖すぎます……。ただ風呂場の水は結露か漏水、水滴音は配管の可能性もありそうですね。女の声だけは分かりませんが……。
新作の短編出したかと思って読んでみたら、作者さんの実体験ホラーでビビり倒しましたw いつも連載していらっしゃる作品が、作品がファンタジーなので、今回も創作だと思って普通に読んでたんですが……途中の『…
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