ある晴れた日、街を歩いていると婚約者の浮気を発見してしまい……!? ~幸せな未来があると信じて生きていきたいものですね~
ある晴れた日のこと。
一人で街を歩いていたところ婚約者ディラスの浮気を知ってしまう。
「ラウンジ、ねぇ、本当にいいの~? 婚約者さんがいるんでしょぉ~?」
「いいんだよべつに」
「あとでややこしいこととかならないわよね~?」
「大丈夫。あいつ馬鹿だから。絶対気づかねえって」
ディラスが見知らぬ女性といちゃつきながら歩いているところを目撃してしまったのだ。
最初は見なかったことにしようかとも思った。しかし彼が発していた『絶対気づかねえって』という言葉がどうしても受け入れられなくて。舐められている、一瞬でもそう感じてしまうと許せなくなる。
見なかったふりなんてしてあげるものか。
そんなことをしても彼が得するだけ。
私だけが傷つく道へ自ら進んでゆくなんて無意味の極み。
「ディラス、女性と一緒だなんて珍しいわね」
なので私は突撃した。
「なっ……!?」
「浮気していたなんて驚いたわ」
なるべく冷静に。
落ち着きを崩さず。
「は、はぁ? 何を言ってんだ? 馬鹿が! そんなこと、あり得るわけないだろ!」
「そちらの女性との関係はどういうものなのかしら」
「は、は、はあああ? ただの友達だよ友達! 恋人とか、愛し合ってるとか、そんな関係なわけないだろ!」
しかし言いたいことははっきりと言う。
「二人揃ってついてきて。それで、きちんと話をしましょう」
「それは嫌だ!」
「どうしてかしら」
「嫌なもんは嫌なんだよ! 嫌だ嫌だ嫌だ! 話をしましょう、とか言ってくるような女とはなぁ、話し合うとか、ぜーってーっに嫌だ!」
そんなことを言われたので「逃げるつもり?」と言ってやった。
すると彼は目を剥いて激怒し。
拳を振り上げながら襲いかかってくる。
「うぜええええええ! あの世逝けやあああああ!」
――結果、ディラスは逮捕された。
怒りのままに私を殴ろうとした彼は、近くにいた一人の男性に拳を掴まれ制止された。しかし今度は男性に向かって攻撃の意思を向け。彼は不快な存在である目の前の男性を殴った。
で、それによって逮捕されることとなったのである。
感情のままに暴力に走り身を滅ぼす。
どれほど愚かなことか。
彼にはそれが分からなかったのだろうか。
不快な時は相手を殴ればいい、なんて教育は受けていないだろうに……。
その後ディラスとの婚約は破棄となった。
彼が犯罪者となったからだ。
犯罪者となった人と結ばれようと考える人間なんていない。冤罪である、とかなら、話はまた変わってくるだろうけれど。ディラスの悪しき行いを見ていて、それでもなお彼と結ばれようだなんて、誰も思いはしない。
それから一ヶ月ほどが経ち、ディラスは牢屋で風邪をこじらせ落命した。
ちなみに、ディラスと浮気していた女性からは、慰謝料を支払ってもらうことに成功した。
彼女の両親が真面目な人だったのできちんと払ってくれたのだ。
額はそれほど大きくはなかったけれど、償いの意思を見せてもらえた分、こちらとしては救われた部分もあった。
謝りもしない、償おうともしない、そんな人よりかはずっとましだ。
……その女性は後に親から勘当を言い渡されたそうである。
ディラス絡みの話が落ち着いた頃、ディラスに殴られそうになっていたところを助けてくれた男性と再会。そこで色々なことを話した。そうして関わるうちに仲良くなっていって。いつしか心は重なり合い、共に行く未来を見つめるようになっていた。そしてついに婚約。思わぬ形で巡り会った二人は、時を経て、同じ未来を見つめる二人へと育った。
この道を信じて進む。
今はその覚悟がある。
だから何も恐れはしない。
◆終わり◆




