5話 助言
地上に戻り、遺体を大聖堂へ運ぶことになった。
大聖堂は白を基調とした建物で、街の外からでも背が高いため、よく見える。
大聖堂前の大通りから、敷地に入ると大聖堂入口までは、幅20メートル、長さ50メートルほどの石畳の通路があり、両脇は芝生の広場になっていた。
通路から外れて芝生の部分に10メートルほど入ると、そこに白布をかけた遺体を安置した。
大聖堂の建物の入口には高さ5メートルの観音開きの大扉があり、開かれたままとなっていて、その前には司祭と使用人が数名立っていた。
ムジカは司祭の前に立つと、芝生の方を指さしながら言った。
ムジカ「また回収してきたよ⋯対応よろしくね」
そして大聖堂を後にした。
勲章は後でギルド経由で受け取ればいい。
報奨金も同じだ。
報酬のやり取りよりも、早くこの場を立ち去りたかった。ここに来る時はいつも死の匂いをさせている。それが気分の良いものでなかったため、さっさとこの場を離れ、日常を楽しむ声のするギルドや酒場に行きたかったのだ。
やり取りを終え、無言の隊長の後ろをメンバーも何も言わずについていく。いつものことだった。
ある日のこと、よく全滅する階層にて巡回を行い、死体がないか探していた。中階層までだと駆け出しの冒険者パーティーが警戒もせずに休憩していたり、良くない場所で休息をとっていることがある。
そんな彼らに助言をするのも我々の、先輩冒険者としての必要な行動だと思っている。
ダンジョン内で宿泊するようなパーティーだと、2日目以降は前日の疲れで、見張りが寝てしまい、全員が寝ているなんて場面もある。それでも死ななかったのは、場所選びがよかったからだろう。
そうでなければ、餌になっている。
この日も1組に休憩場所の選び方を助言したところだった。
ムジカ「今日は発見できていないねぇ。いいことだよ」
明るく笑顔でそう言うと、バーナードが続いた。
バーナード「だな。何も無いのが一番だ」
ジョン「ええ、そうね。まあ、ダンジョン生活者である獣人が、自分の領地に勝手に入ってくる地上種を排除しようとする理由は尤もだけど、地上種にも事情があるしね」
ダニー「そんな先住民から俺らは武具と遺物を奪うと」
ジョン「…」
ジョンは下を向いてしまった。そんなジョンをみてカールが慌てて入る。
カール「獣人共がいなくなれば、遺物探索が楽になるだがなぁ」
ムジカ「そうさね。遺物はやつら獣人の者じゃない。古代エルフの物だ。遺物を回収する過程で獣人と遭遇し、彼らの武具を奪う。これが正しい表現だろうね」
ジョン「だね」
ジョンも気分を落ち着かせたのか、いつもの表情に戻っていた。
ムジカ「さて、今日はあと少し獣人の警備隊を倒したら戦利品を入手して、地上に戻ろうか」
一同は賛成し、その後無事に地上に戻り、鑑定屋に行く面々。
【鑑定屋】
ダンジョンで発見した遺物や獣人の武具は、普通の冒険者では名称も効果もわからない。
そこで鑑定屋に持ち込むことで性能を知ることが出来るのだ。
大事なのは呪いの品かどうか、どんな魔法が込められているか、材質は何かである。
有名なものであれば、銀製品は獣人や不死に有利となる武具で、呪いの品は闇の種族以外が装備すると色々とおかしくなってしまう。
魔法の効果としては、アミュレットやスクロール、オーブ、ポーションなんかがある。
炎の魔法が込められたスクロールは誰でも炎の魔法を行使できるが、1回で無くなってしまう。
しかし、炎のオーブは複数使うことができるが、魔法使いにしか使用することができない。
ポーションは毒消しや麻痺消しが有名なもので、街の道具屋での売買数も多いため、余っている冒険者は積極的に道具屋に売却している。
遺物の中には魔法金属であるミスギル製の武具が混じっていることがある。
純粋な硬度でほかの材質に優っている品物である。




