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フミヤァ〜と鳴く猫

作者: 武井 こらむ
掲載日:2025/11/30

別に仲が良いワケではない、ただ、気になる存在とでも言うか、私とあいつは似ているのかも知れない。


あいつは、ちょっと暖かい晴れの日に、家の前で座っている。人が前を通っても動じない。最初見た時は、ビックリした。ホントに、置物の様に動じないからだ。


ずっと空家だった家に、あいつと家族が引越してきたのは、数年前の事。不思議なヤツだと思った。他の人達は、「可愛い〜」とあいつに寄っていき、フサフサとした体を撫でていた。

あいつは、当然のごとく撫でられるままでいる。

だが、だからといってあいつは、可愛く鳴くわけでも、愛想を振りまくわけでも無い。ただいつも、動じない。


でも私は、みんなと同じ事はしないし、しようとも思わない。それを、する必要性を全く感じないからだ。


そんな時も、あいつの姿を私はチラッと横目で見ながら、前を通る、その黄色い声にも全然興味が無い私に、あいつは、少し目配せをしてる気がする。もしかしたら、助けて欲しのいかも・・そんな目をしてるような・・。


それからあいつは歩くのも、この上なくゆっくりゆっくり歩く。もっと素早く動くあいつの仲間も度々見かけるが、あいつは、マイペースで、やっはり何にも動じない。


ある朝、家を出た時も、あいつの後ろ姿を見つけた。

「あっ」心の中の私の声なのに、あいつは、ゆっくり振り返った。何かを感じたのか・・。

私は何も言わずに、片手を上げた、"おはよう"のしるしだ。その時あいつは私の顔をジッと見て、少し目を細目、また前を向いて、ゆっくりと歩きはじめる。

その後ろ姿を背に、私も仕事に出かける。


ある日私に突然、大変な事が訪れた、毎日息をするのもツライくらい。

そんな時、最近殆ど見なくなったあいつが、突然、私の帰りを待っていたかのように、ちょうど道の先に、こっちを見て、ドンと座っていた。

段々あいつに近くになった時に、私は思わず「ただいま」と声をかけていた。あいつは、私の顔を見ていたが、いつもの様に動じない。でもその顔に癒された私は、自然にスマホで写真を撮ってしまっていた。だがその時も、写真を撮られるのが、当たり前の様に、いつもの顔でカメラに視線を向けていた。

私はクスッと笑い「ありがと」一言告げてその場を後にした。


そのまた数日後、あいつに会った。私は一瞬立ち止まって、「最近よく見るなぁ〜」と呟いた。

そして私が歩き始めたら、そっと近寄ってきて、足にまとわり付き「フミヤァ〜」と少し高目な声で、一、二回鳴いた。

「えっ、鳴くんだぁ〜」と、私は、あいつを微笑ましく見つめた。私はびっくりしたのと同時に、なんかギャップのある可愛い声に、幸せな気分になった。

普段から全く鳴き声を聞いた事が無く、初めて聞いた声だったから余計に、感動すら覚えた。


それに・・なんか元気出た。


私は、あいつの「フミヤァ〜」と鳴く声で、紛れもなく元気を貰った。そしてあいつは、私にとって、ご近所同志を超えた何かを感じた。だがしかし、相変わらず、付かず離れずで、お互い距離を取っている。その関係が心地良い。あいつもそうでいてくれたら良いなと思い、今日もあいつの健康を心の中で祈りつつ、元気を貰った事に感謝した。

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