97 傷だらけのヒロ②
隆二は、台所へ行く。小鍋を取り出すと水を入れた。沸いたところで和だしと卵を溶きいれた。火が通ったところで、『箱』から取り出した粥を加えレンジスキルでも温める。沸きあがったところで火から下ろし、冷凍葱を振る。鍋ごとテーブルへと運んだ。
テーブルはシアンが拭いてくれていた。
湯の入った薬缶と鍋がテーブルに置かれている。
竹カップを6個取り出し、片方に粥、片方に湯を注いだ。
「ギルマス、少しくらい離れても大丈夫だと思うから、こちらで雑炊を食べましょう。」
「ああ、ありがとう。」
ギルマスは、雑炊の入ったカップを見て隆二を見た。
「卵雑炊です。味が濃かったらお湯で薄めてください。」
「ああ、わかった。」
シアンが先に一口食べ、カップギリギリまで湯を注いでしまった。そして、シアンはギルマスの分までカップの上近くまで湯を入れてしまう。
そんなに濃かったか?
隆二が食べても薄味だと思ってしまった。
「なんだこれは…卵だけではないな?シアンが薄めてくれたが、なんだかわからないが旨い。」
「出汁が入っているからかな?」
「だし?」
「ええ、今日は鰹…魚のだしも入っています。」
「ふむ。とにかく旨い!染みわたってくるぐらい旨い!」
手放しの賞賛を受けて落ち着かない。シアンは普通に食べお代わりもしていた。
隆二は、1杯分食べると寝ている二人を見に行った。
ヒロが身じろいだので、声をかけた。
「ヒロくん、起きられるなら粥を食べよう。粥が無理ならミルクティでもミルクでも用意する。」
ヒロは、なんとか起きようとするが苦しいらしい。
ギルマスが飛んできて、ヒロを後ろから抱えた。
「ヒロさん、食べさせるからゆっくり食べなさい。」
隆二が粥を薄めた物をスプーンで口元へ運ぶと、飲み込んでくれる。それを見て、大丈夫だとまた明るい気持ちになり、1カップ分食べさせた。
それから、デカビタミンとリンゴジュースを混ぜた物を飲ませる。飲み終えたヒロは眠ってしまった。
夜中にロロナが目を覚ましたので、こちらにも雑炊を薄めた物を食べさせた。それからデカビタミンを飲ませるとまた眠ってしまった。
「リュウジさん、俺が見ているから寝てください。」
シアンに提案され、遠慮しようと思ったがギルマスにも言われてしまい食卓テーブルに使われているベンチに横にならせてもらった。
ギルマスとシアンには、二人の目が覚めたらデカビタミンとリンゴジュース、もしくはお湯で作れるようにミルクティの粉をカップに入れてあった。
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